2006 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液中で機能するLewis酸を用いる炭素-炭素結合形成法の開拓
Project/Area Number |
17065004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
眞鍋 敬 独立行政法人理化学研究所, 眞鍋独立主幹研究ユニット, 独立主幹研究員 (00251439)
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Keywords | オリゴアレーン / ヒドロキシフェニルボロン酸 / 二段階繰り返し合成法 / ピナコールエステル / 鈴木カップリング / 根岸カップリング / 人工酵素 / 触媒 |
Research Abstract |
水系媒体中での有機合成反応は、従来主に用いられてきた有機溶媒中での合成反応と比較して、多くの利点を有する。筆者らは以前より、水あるいは水/有機溶媒混合溶媒系を反応媒体として用いる触媒的有機合成反応の開発研究を行ってきた。しかしながら、触媒効率が低い場合が多く、触媒系の抜本的改良が必要であると考えられる。一方、自然界において水中で効率的に機能している触媒である酵素は、種々のアミノ酸が連なったタンパク質を基本骨格としており、触媒活性部位と基質結合部位とを併せ持っている。そこで、このような酵素の基本的概念を人工的に再構築したシステムを創出することで、水中で有効に機能する触媒群を開発できるのではないかと考えた。本研究では、水中での触媒反応への展開を最終的な目標とし、純人工的なユニットが連なったオリゴマー(オリゴアレーン)を基本骨格とする新触媒系を開発する。平成18年度は主に、官能基化されたオリゴアレーン類の効率的合成法の開発研究を行った。 種々の官能基を任意の位置に持つオリゴアレーン類の効率的合成法として、ヒドロキシフェニルボロン酸をモノマー単位とする二段階繰り返し合成法を昨年度に開発した。しかし、モノマー単位であるヒドロキシフェニルボロン酸が、ボロン酸無水物の形成などにより精製しにくいという問題点があった。そこで、モノマー単位として、ヒドロキシフェニルボロン酸のピナコールエステルを使用する手法を検討した。これらのピナコールエステルをモノマー単位として用いる二段階繰り返し合成法を検討したところ、室温で高収率で進行する反応条件を見出すことができ、種々の官能基を有するオリゴアレーンを容易に合成することができた。さらに、鈴木カップリングの代わりに、根岸カップリングを利用する二段階繰り返し合成法も開発した。
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