2008 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液中で機能するLewis酸を用いる炭素-炭素結合形成法の開拓
Project/Area Number |
17065004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
眞鍋 敬 The Institute of Physical and Chemical Research, 眞鍋独立主幹研究ユニット, 独立主幹研究員 (00251439)
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Keywords | 人工酵素 / パラジウム / クロスカップリング / オリゴアレーン / 触媒 / 位置選択的反応 / 遷移金属 / グリニャール試薬 |
Research Abstract |
水を反応媒体として用いる有機合成反応は、従来主に用いられてきた有機溶媒中での合成反応と比較して、多くの利点を有する。したがって、水系媒体中で有機反応を加速する触媒の開発は、有機合成において重要な課題である。しかし、水系媒体中では多くの場合、触媒効率が低い場合が多く、触媒系の抜本的見直しが必要である。そこで筆者は、自然的概念を人工的に再現したシステムを創出することで、水中で有効に機能する触媒群を開発できるのではないかと考えた。本研究では、水中での触媒反応への展開を最終的な目標とし、純人工的なユニットが連なったオリゴマー(オリゴアレーン)を基本骨格とする新触媒系を開発している。平成20年度は主に、新規水酸基含有オリゴアレーン型ホスフィンを前年の研究に基づいて開発し、パラジウムと組み合わせることによって、改良型の位置選択的クロスカップリング反応を実現した。本反応では、ジブロモベンゼン類とグリニャール試薬とのクロスカップリングが水酸基やアミノ基のオルト位でのみ効率的に反応が進行する。更にこれらの研究から、フッ化ベンゼン類を基質とする位置選択的クロスカップリング反応の開発に至った。また、ニッケル触媒を用いる位置選択的クロスカップリング反応も開発できた。これらの研究は、位置選択的クロスカップリング反応の新たな領域を拓くものである。本研究の最終目標である「水中で有効に機能するオリゴアレーン触媒の開発」の実現には至っていないが、本研究成果は、オリゴアレーン型触媒開発の基盤的知見となるものである。本成果をもとに研究をさらに発展させることにより、様々な触媒が開発できるものと期待している。
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