2005 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素をコモノマーとする高度立体規則性ポリマーの合成
Project/Area Number |
17065005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 京子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60222197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 幸司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70345099)
山下 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10376486)
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Keywords | 二酸化炭素 / エポキシド / 含ヘテロ小員環 / シクロヘキセンオキシド / 亜鉛錯体 / イソタクチック / ポリ炭酸エステル / 鏡像体過剰率 |
Research Abstract |
本研究は、二酸化炭素とエポキシド、オキセタン、アジリジン、エピスルフィドなどの含ヘテロ小員環との共重合反応を取り上げ、高度な立体規制を達成できる有機合成反応を開発することを目的とする。今年度は、特にメソ型エポキシドと二酸化炭素の共重合における立体規制に着目した。シクロヘキセンオキシドはメソ体であり、二酸化炭素との共重合の際には、一方の不斉炭素原子上での立体の反転を伴う。この際、光学活性亜鉛錯体を触媒に用いると、高分子の成長末端が、一方の配置の炭素原子上を選択的に求核攻撃し、イソタクチックポリ炭酸エステルが選択的に合成できた。ジエチル亜鉛とジフェニルプロリノールから調製し、単離生成した亜鉛錯体を用いて重合をおこなうと活性が低く、また得られるポリマーの構造も不規則であった。これに対し、エチル基二つのうちの一方をエトキシドに変換した錯体を用いると、収率95%で完全交互共重合体が得られ、その主鎖を構成するジオールユニットの配置は、鏡像体過剰率80%で制御されていた。また、モノマーの転換率と分子量は直線関係にあり、リビング性の高い重合であった。この反応の機構をより詳細に検討するため、われわれは、配位子の光学純度と生成するポリマー中のジオールユニットの光学純度の関係を調べ、両者の間に非線形の関係があることを明らかにした。反応は亜鉛濃度に対して2次であり、律速課程において、亜鉛錯体二つが協力的にはたらく機構が示唆された。また、エピスルフィドと二硫化炭素との交互共重合にも取り組み、交互共重合体を得ることに成功した。この反応については、1970年代に2例だけ報告があるが、得られたポリマーの組成や分子量、その他の構造に関する知見はない。われわれは、クロム/サレン錯体を触媒に、[PPN]CIを開始剤に用いてプロピレンスルフィドと二硫化炭素を共重合させ、完全交互共重合体を得た。
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Research Products
(6 results)