2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17065006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三上 幸一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10157448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 光介 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30401532)
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Keywords | 石油化学 / アルケン / 原子効率 / エン反応 / シリルエノールエーテル / アルドール反応 / ピラン環 / ルイス酸 |
Research Abstract |
本研究では、有機合成反応の基盤となる「炭素資源の高度分子変換」に石油化学工業の原材料であるアルケンを求核種に用い、経済的な触媒的不斉合成法を確立しようとするものである。アルケンを求核種とするエン反応は、アリル金属を求核種とする炭素資源変換反応と合成的には等価である。さらに、ハロゲン化、メタル化等の変換を経ることなくアルケンを不斉炭素資源変換反応に用いるエン反応は「原子効率」に極めて優れている事が本研究の特徴であり、独創的な点である。 触媒的不斉カルボニル-エン反応は、合成上有用な手法である。しかし、エン体にシリルエノールエーテルを用いた不斉エン反応の報告例は、その合成上の有用性に関わらずチタン錯体とクロム錯体を用いた2例のみであり、しかも3級炭素を構築する系に限られている。そこで我々は、カチオン性後周期遷移金属錯体を不斉触媒としてエン体にシリルエノールエーテルを用いた4級炭素をも構築可能な一方向カルボニル-エン反応について検討した。また、一度に2つの不斉点を構築できる連続的双方向エン反応およびエン-アルドール反応、さらにはピラン環合成についても検討を行った。 まず、エン体にアセトンシリルエノールエーテルを、中心金属としてカチオン性のパラジウムを選択してルイス酸として検討した。ケトン基質を用いても、高いエナンチオ選択性で一方向および双方向エン反応生成物が得られ、キラルな四級炭素を構築することに成功した。また、二段階目の基質として芳香族アルデヒドを用いることで連続的にエン-アルドール反応およびピラノン環生成反応が進行することを見出した。
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