2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17065006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三上 幸一 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10157448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 光介 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (30401532)
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Keywords | エン反応 / 原子効率 / シリルエノールエーテル / アルドール反応 / カチオン性 / 不斉触媒 / エン体 / 親エン体 |
Research Abstract |
本研究は、有機合成反応の基盤となる「炭素資源の高度分子変換」に石油化学工業の原材料であるアルケンを求核種に用い、経済的な触媒的不斉合成法を確立しようとするものである。アルケンを求核種とするエン反応は、アリル金属を求核種とする炭素資源変換反応と合成的には等価である。しかしながら、ハロゲン化、メタル化等の変換を経ることなくアルケンを不斉炭素資源変換反応に用いるエン反応は「原子効率」に極めて優れている。 触媒的不斉カルボニル-エン反応は、合成上有用な手法である。しかし、エン体にシリルエノールエーテルを用いた不斉エン反応の報告例は、その合成上の有用性にかかわらず我々が開発したチタン錯体とクロム錯体を用いた2例のみであり、しかも3級炭素を構築する系に限られていた。そこで我々は、カチオン性後周期遷移金属錯体を不斉触媒としてエン体にシリルエノールエーテルを用いた4級炭素をも構築可能な一方向カルボニル-エン反応について検討した。 まず初めに、カチオン性Pd錯体を触媒に、シリルエノールエーテルをエン体として一方向不斉カルボニル-エン反応の検討を行った。その結果、ケイ素置換基の嵩高さをかえることでエン反応生成物とアルドール反応生成物を選択的に得ることに成功した。さらに、様々な親エン体を用いて、それぞれ高いエナンチオ選択性で四級炭素を構築することに成功した。これは、温和な条件下、ケトンを親エン体として四級炭素を構築できた初めての触媒的不斉カルボニル-エン反応として特質される結果である。 次に、二段階目の親エン体基質として様々な芳香族アルデヒドを用いて、ワンポット連続的不斉エン-アルドール反応について検討を行った。その結果、中程度の収率、ジアステレオ選択性で期待通り主生成物、副生成物ともに高いエナンチオ選択性が得られた。
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