2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属/アミン触媒を用いるエノラート種の高度な選択的生成と炭素小分子との反応
Project/Area Number |
17065007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90273268)
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Keywords | アミノ有機典型元素触媒 / シラノール / 形ある水 / 酸-塩基相互作用 / 水素結合 / 配位結合 / 炭素-炭素結合生成 / エノール |
Research Abstract |
本研究で追求する「触媒」とは、豊富な天然資源、かつ人為的に大量生産可能な糖類やタンパク質などのバイオマス群を「分子」として捉え、その活用に視点をおくものである。そして、個々のバイオマス分子を触媒として有効利用するうえで前提となる、化学的な基盤概念の端緒を見いだすことを目的とする。核酸や糖医薬,および液晶材料等の合成において有用な原料となり得るβ-ヒドロキシニトロアルカン化合物やβ-アミノニトロアルカン化合物を,金属を含有しない環境調和型触媒(アミノ有機典型元素触媒)存在下効率よく合成することにも成功した。特に水素結合のみを推進力とし炭素-炭素結合を生成させる分子触媒的手法はこれまでほとんど皆無であったが、その実現を可能とするアミノ有機ボラン-水型クラスター触媒、およびアミノ有機シラノール触媒前駆体を開発した。触媒作用の特徴としては、元素中心の内圏ではなく外圏を主に活用する点や、元素中心によって活性化された水素結合によって反応が促進される点が挙げられる。また本触媒は複数の酸と塩基が協同的に働く多機能性をもつが、同時に高機能性をも示しニトロアルドール反応のみならずDirectアルドール反応にも適用できることが証明された。ボランを中心元素としてもっ触媒に関してはニトロアルドール反応における詳細な速度論的実験を行った。その結果、「形ある水」分子がニトロ基を認識し、弱い相互作用をこの官能基と作るとともに、ニトロネートを可逆的に発生させることを突き止めた。そしてこの触媒のもつ水部位が触媒活性の発現に必須であることを見出した。またケイ素を中心元素としてもつ化合物については、初期的な速度論的実験により触媒前駆体であることを明らかにした。この触媒前駆体は、外から加えた補因子によって触媒へと活性化されること 発見した。また水溶性炭素小分子との反応も円滑に進行することを見いだした。
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