2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属/アミン触媒を用いるエノラート種の高度な選択的生成と炭素小分子との反応
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17065007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90273268)
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Keywords | アミノ有機典型元素触媒 / 有機触媒 / プロリン / 酸-塩基相互作用 / 水素結合 / 配位結合 / 炭素-炭素結合生成反応 / エナミン |
Research Abstract |
本研究で追求する「触媒」とは、豊富な天然資源、かつ人為的に大量生産可能な糖類やタンパク質などのバイオマス群を「分子」として捉え、その活用に視点をおくものである。そして、個々のバイオマス分子を触媒として有効利用するうえで前提となる、化学的な基盤概念の端緒を見いだすことを目的とする。平成18年度は、核酸や糖医薬,および液晶材料等の合成において有用な原料となり得るβ-ヒドロキシカルボニル化合物を,金属を含有しない環境調和型触媒(アミノ有機典型元素触媒)存在下効率よく合成することにも成功した。例えば、α-アミノ酸の一つであるプロリンは天然に豊富に存在する、最も単純な構造をもつ不斉有機触媒である。しかし、その反応の多くは準化学量論量(20-30mol%)のプロリンを必要とする場合が多い。低反応性の原因の一つとして、複雑な水素結合を介した分子会合によるプロリン触媒の失活が考えられる。触媒の失活を防ぐための一案として、プロリンと優先的に相互作用する分子の添加効果が挙げられる。その分子がプロリンと相互作用することで分子会合を抑制し、同時にカルボン酸部位のプロトンを活性化することができれば反応性の向上につながると予想される。アミノ有機ボラン-水型触媒1を反応系中に添加すれば、L-プロリンと相互作用すると考えた。そこでまず触媒1をL-プロリンと等モル量混合し、L-プロリンの活性化を検討した。より少ない触媒量(1mol%)のL-プロリンと触媒1を用いてDirect Aldol反応を行った。その結果、L-プロリンと1、及び水を加えると反応性が著しく向上することを見いだした。一方、L-プロリンのみを用いた反応より、選択性は大幅に低下した。添加物としては水以外にも様々なアルコールやキラルなアルコールなども検討したが、いずれも選択性を維持したまま、反応性を向上させることはできなかった。
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