2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属/アミン触媒を用いるエノラート種の高度な選択的生成と炭素小分子との反応
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17065007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90273268)
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Keywords | アミノ有機金属触媒 / 炭素-炭素結合生成反応 / 分子触媒 / 酸-塩基相互作用 / 水素結合 / ニトリル / アミド / 水和 |
Research Abstract |
本研究で追求する「触媒」とは、豊富な天然資源、かつ人為的に大量生産可能な糖類やタンパク質などのバイオマス群や基幹化学物質の活用に視点をおくものである。そして、個々のバイオマス分子を触媒として有効利用するうえで前提となる、化学的な基盤概念の端緒を見いだすことを目的とする。平成19年度は、医薬等の合成において有用な中間体となり得るβ-ヒドロキシニトリル化合物を,Rh^1(OR)触媒を用いて合成することに成功した。ニトリル化合物とアルデヒドの直載的アルドール反応に基づく方法である。触媒回転数は50-100程度であり、室温で円滑に反応は進行する。官能基選択性も高く、20種類以上のニトリル化合物に適用できる。Rh-アセトニトリル錯体の形成をab initio法(B3LYP/LANL2DZレベル)で確認したところ、Rh(η^2-N≡CCH_3)あるいは、Rh^<lll+>(η^1-N=CCH_3)^-種の形成がエネルギー的に非常に有利であることが証明された.この有機アミノRh(OR)種はアシルイミノ等価体とみなすこどができ、その結果、ニトリルのα位水素の酸性が格段に上がり、脱プロトン化が容易になると推定される。また、現在、同様の分子触媒を用いてニトリル基の水和にも適用できることが初期検討で分かっており、同じRh-ニトリル錯体の形成段階が鍵反応となると考えている。水非存在下ではニトリルのα位水素の脱プロトン化が優先して起こるが、水が大過剰反応系中に存在すれば、脱プロトン化過程は無視でき、水和が優先する。この水和反応を前述のアルドール反応と組み合わせることで、one-pot連続的炭素-炭素結合形成/水和過程へと応用が期待できる。同じ触媒を同じフラスコ内で二種類の反応に順番に使うことで、これまでエノラート化学のなかで最難関とされてきた、アミド類の形式的な触媒的アルドール反応の実現に今後期待したい。
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