2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属/アミン触媒を用いるエノラート種の高度な選択的生成と炭素小分子との反応
Project/Area Number |
17065007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90273268)
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Keywords | アミノ有機 / 金属錯体 / 水素結合 / 配位結合 / 環境負荷低減 / エノラート種の形成と反応 / 分子触媒 |
Research Abstract |
低分子から高分子にわたる多彩な有用化学物質の生産は今なお合成化学の独壇場である。しかし不十分なE-ファクター(副生成物/目的生成物の比率)を与えるファインケミカルや医農薬の分野にはまだまだ未完成の部分が多く残されている。とくに金属資源や環境への負荷は今後おのずと限界へと向かうため、有機物質生産の根幹をなす「触媒」の今後あるべき姿を抜本的に見直す段階に来ている。なかでも重要な医薬や有機材料に見られる炭素-炭素結合を高い触媒効率によって構築することは今なお重要課題のひとつである。本研究では、斬新な分子構造をもつアミノ有機/(半)金属アルコキシド(MOR)系化合物を用いて、エノラート関連種を触媒的に発生させる新しい手法を見いだすとともに、その反応中間体としての合成的な有用性を、これまで実現が困難とされてきた反応系で展開させた。中性系分子触媒反応という新反応設計指針にその解決の糸口を見出した。すなわち、「水素(プロトン)移動に基づく触媒的なエノラート関連種の形成と反応の制御」に立脚し、高度な分子認識に基づく新しい分子触媒反応を多数開発し廃棄物の排出を極力低減するための有機合成法へと拡張した。典型元素の活用に主眼をおきつつも、遷移金属の特徴を活かした分子触媒の探索にも視野を広げ研究を推進した。より具体的には、1. アミノ有機/Rh^I(OR)錯体の触媒作用を利用したプロトン移動の制御とアルドール型反応/水和反応への展開、2. アミノ有機/B^<III>(OR)系錯体を用いるプロトン移動の制御とアルドール型反応/活性アミド類の加アルコール分解への展開、3. アミノ有機/Pd^<II>(OR)系錯体を用いる水素移動の制御と2種のアルコール間のカップリング反応への展開、をそれぞれ押し進め、顕著な成果をあげた。
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