2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17065008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上垣外 正己 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (00273475)
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Keywords | リビング重合 / ラジカル重合 / 立体特異性重合 / アルケン / ラジカル付加 / 酸化還元 / 位置特異性重合 / ステレオグラジェントポリマー |
Research Abstract |
本研究は、アルケンのラジカル重合反応において、官能基選択的かつ立体選択的なラジカル付加反応を連続的に可能とする高度分子変換反応を構築し、分子量と立体構造が制御された高分子の精密合成を行い、さらに新規機能性高分子材料開発へとつながる重合反応を構築することを目的としている。本年度は主に以下の成果を得た。 1.異なる二つのラジカル重合反応性二重結合をもつモノマーの位置特異性ラジカル重合 ジビニル化合物は通常、ラジカル重合において両方の二重結合が反応し不溶性ポリマーを与える。メタクリル基とビニルエステル基を有するメタクリル酸ビニルのラジカル重合を、アルミニウム化合物の存在下で行うと、メタクリル基のみが選択的に重合し、側鎖にビニルエステル基が完全に残った直鎖状で可溶性ポリマーを与えることがわかった。とくに、嵩高い置換フェノキシ基を有するアルミニウムルイス酸では、高分子量ポリマー(Mn>10^4)を高収率(>85%)で与え、位置特異性ラジカル重合が効果的に進行することを見出した。 2.水素結合性化合物によるラジカル重合反応の制御と環境適合型ラジカル重合系への展開 一連のチオウレア誘導体を用いて、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのモノマーの立体特異性ラジカル重合を検討した。添加物なしの重合ではアタクチック(m〜50%)なポリマーが生成するが、ある程度の嵩高さをもつチオウレア化合物を添加すると、イソタクチシチー合率が向上し(m〜70%)、立体特異性ラジカル重合が進行した。チオウレア誘導体とモノマーまたはポリマー末端モデル化合物との相互作用をNMRにより解析し、チオウレア基はカルボニル基に対して1:1または1:2で水素結合により相互作用していることが示唆された。さらに、RAFT重合と組み合わせることで、分子量との同時制御が可能なり、硫黄を含む有機化合物のみでラジカル重合における分子量と立体構造の同時制御が達成された。
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Research Products
(24 results)