2005 Fiscal Year Annual Research Report
シアノボランの炭素-炭素多重結合への付加反応を機軸とする新分子変換
Project/Area Number |
17065012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉野目 道紀 京都大学, 工学研究科, 教授 (60252483)
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Keywords | シアノボラン / シアノホウ素化 / 付加反応 / α,β-不飽和ニトリル / ホウ素化合物 / クロロボラン / アルキニルホウ素化 / 遷移金属触媒 |
Research Abstract |
平成17年度は,シアノボランの遷移金属触媒付加反応の開発を行い,合成化学的な自由度の高い官能基であるシアノ基とホウ素とを様々な不飽和有機分子に同時に導入する反応を見出した。また,シアノボランの反応機構に関する知見をもとに,ハロボラン類を用いる新しいカーボボレーション反応の開発に取り組み,興味深い知見を得た。シアノボランの不飽和有機化合物への付加反応に関し、新たにアルキンの分子間シアノホウ素化反応を見出した。鍵となるのは反応に用いるシアノボランの構造であり,ジアミン部位が環状構造をとるシアノボラン誘導体を用いた場合に,炭素-炭素三重結合への付加が効率的に進行した。非対称アセチレンの反応についても検討した。1-フェニルプロピンの反応においては,ジアミン部位の窒素原子上にかさ高いイソプロピル基を有するシアノボランを用いた場合に,95:5の高い位置選択性でシス付加生成物を与えた。このとき,主生成物はフェニル基のα位にシアノ基を有する位置異性体であった。この反応条件下において様々な(アリール)(アルキル)置換アセチレンの反応を行ったところ,いずれも良好な選択性で同様の位置異性体を収率よく与えた。擬ハロゲン置換基と見なすことができるシアノ基とホウ素の結合が遷移金属触媒で活性化されたことから,ハロゲン置換基とホウ素の結合の活性化を利用した触媒反応の開発を検討した。クロロボランを用いた分子内クロロホウ素化反応を検討したが,環化生成物は全く得られなかった。そこで,アルキニルスズを共存させて反応を行った。ニッケル触媒の存在下,アルキニルホウ素化が進行し,炭素-炭素三重結合に分子内のボリル基とスズ試薬由来のアルキニル基が付加した生成物が得られた。
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