2005 Fiscal Year Annual Research Report
シクロアルカン類の炭素-炭素結合活性化に基づく高選択的開環反応
Project/Area Number |
17065013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 貴洋 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (50335197)
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Keywords | 炭素-炭素結合開裂 / モリブデン / 異性化 / エンイン / シクロプロパン / ホモアリルアルコール / オキソ金属錯体 / バナジウム |
Research Abstract |
本研究では、バナジウム、モリブデン、レニウムのなどのオキソ錯体を触媒とするシクロプロパンメタノール類の炭素-炭素結合の開裂を伴った異性化反応を検討し、ホモアリルアルコール類が得られることを明らかにした。この反応は、アリルアルコール類の異性化反応に類似したシグマトロピー転位を経ると考えられる。また、六員環遷移状態を経て反応が進行すると考えられるため、位置および立体選択的な異性化反応が可能になる。α,α-ジアリールシクロプロパンメタノールの反応では、触媒としてバナジウムを用いた場合対応するホモアリルアルコールが高収率で得られた。一方、モリブデンやレニウムを触媒として用いると、さらに環化反応が進行しテトラヒドロフラン類が高収率で得られた。次に置換基としてアルキニル基を有するシクロプロパンメタノールの異性化反応を検討した。シクロプロパンメタノールはオキソ金属錯体との反応によりアルキン部位での異性化およびシクロプロパン部位での異性化の二つの反応が進行する可能性がある。様々なバナジウム、モリブデンおよびレニウムのオキソ錯体を用いてα-アルキニル-α-アリールシクロプロパンメタノールの反応を試みたところ、オキソモリブデン触媒を用いた場合にシクロプロパン部位での反応が優先的に進行し、エンイン化合物が高収率で得られた。アリール基を有するアルコールから得られた生成物はZ体であり、E体の生成は確認できなかった。この立体選択性は、六員環遷移状態を経て異性化反応が進行していることを示唆するものである。Z体のエンイン化合物は天然物合成等のビルディングブロックとして有用であることが知られており、本反応はその選択的合成手法の一つとなる可能性を持つと考えられる。
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