2007 Fiscal Year Annual Research Report
シクロアルカン類の炭素-炭素結合活性化に基づく高選択的開環反応
Project/Area Number |
17065013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 貴洋 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 講師 (50335197)
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Keywords | ロジウム / 炭素炭素結合開裂 / 遷移金属 / 触媒反応 / アルキニルケトン / 転位反応 / アルコール / アルキニル脱離 |
Research Abstract |
ロジウム触媒によるビニルケトン類への末端アセチレンの共役付加反応は速やかに進行することが既に報告されているが、β-位に置換基を有するα,β-不飽和ケトンに対する付加反応はうまく進行しない。これは、β-位の置換基によりエノンの反応性が下がり、相対的に末端アセチレンの二量化反応が速くなることに起因する。 我々は、アルキニルアルケニルカルビノール類のβ-アルキニル脱離を利用し、末端アルキンの不斉共役付加と等価である光学活性β-アルキニルケトンの新しい合成手法を開発した。この反応は、アルコキソロジウム種からの炭素一炭素結合の開裂を伴うβ-アルキニル脱離により一価のアルキニルロジウム種を発生させ、脱離によって生じたエノンへの共役付加反応によってβ-アルキニルケトンを合成しようとする試みである。この際、生じたアルキニルロジウム種に対して反応性の高い末端アセチレンは存在しないため、通常の末端アセチレンの共役付加反応で問題となる二量化反応が抑えられる。また、脱離したエノンがアルキニルロジウム種の近傍に位置するため、付加も起こりやすくなる。基質であるアルケニルアルキニルカルビノール類は対応するエノンとリチウムアセチリドから容易に合成できることも本反応の利点である。具体的には、ヒドロキソロジウム/(R)-binap触媒存在下、アルキニルアルケニルカルビノールをトルエン中、60℃で加熱すると目的とするβ-アルキニルケトンが収率88%で得られた。また、この化合物の鏡像体過剰率は94%であった。本反応は、様々な置換基を有するアルケニルアルキニルカルビノール類に適応可能であり高収率かつ高エナンチオ選択的に対応するβ-アルキニルケトンが得られた。
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