2008 Fiscal Year Annual Research Report
シクロアルカン類の炭素-炭素結合活性化に基づく高選択的開環反応
Project/Area Number |
17065013
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 貴洋 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 講師 (50335197)
|
Keywords | ロジウム / パラジウム / 炭素炭素結合開裂 / 触媒反応 / アルキニルケトン / アルコール / アルキニル化 / アルキニル脱離 |
Research Abstract |
有機化合物の炭素-炭素結合の選択的な開裂を利用した触媒的分子変換反応の開発は、有機合成化学ならびに有機金属化学の分野で新しい試みの一つである。本研究では、パラジウムおよびロジウム錯体と第三級アルコールから生じるアルコキソ金属種の炭素-炭素結合切断を経るβ-脱離反応により有機金属種を発生させ、それらの触媒的有機合成反応への応用を行った。我々が既に開発したロジウムを触媒とするアルキニルアルケニルカルビノール類の不斉転位反応や末端アルキンの不斉共役アルキニル化反応では、β位にアリール基を有する共役エノンや環状エノンに対するアルキニル化生成物を得るのが困難であらた。その解決策として、かさ高い置換基をもつ内部アルキンからアルキニルロジウム種を発生させ副反応を抑制する手法を考案した。例えば、アルキニルシラノールをアルキニル化剤として用いると、β位にアリール基を有ずる共役エノンや環状エノンに対する不斉共役アルキニル化反応が効率よく進行した。また、ベンゾキノン類から誘導される第三級アルキニルメタノール類もアルキニル化剤として用いることが可能であった。一方、パラジウムを触媒とするアルケンのヘック型アルキニル化反応が、第三級アルコールをアルキニル化剤として用いると効率よく進行することを見出した。この反応は、パラジウム錯体と第三級アルキニルメタノール類から生じるアルコキソパラジウム種かちのβ-アルキニル脱離によってアルキニルパラジウム種が発生し、続くアルケンとの反応によりエンイン化合物が生成する。本手法は、アルキニル化剤として末端アルキンを使うと末端アルキン間の酸化的二量化反応が進行しジインを与え、目的生成物はほとんど得られないため、アルキニル金属種の発生方法として優れている。また、酸化剤としてTEMPOを用いると反応は効率よく進行し、高収率でエンイン化合物が得られることがわかった。
|