2008 Fiscal Year Annual Research Report
小分子炭化水素および一酸化炭素を利用する高度な炭素骨格構築反応
Project/Area Number |
17065015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神戸 宣明 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (60144432)
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Keywords | ブタジエン / 共役エンイン / 分子内付加反応 / 銅触媒 / パラジウム触媒 / アルキン / アレン / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
本研究では、安価で多量に供給される小分子を用いて、有用な炭素骨格を一挙に構築する新しい手法を確立し、超効率精密分子変換法として有機合成プロセスの革新的展開を目指した。さらに、一酸化炭素を含む種々の有機反応剤との多成分カップリング反応の開発も合わせて行った。平成20年度からは、第10族遷移金属を触媒とするアレンへの付加反応と一酸化炭素を利用する環化付加反応の開発研究に重点を置いて研究を進めた。アレンへの付加反応については、研究はほぼ計画通り進展し、分子間付加反応と分子内付加反応の二つの論文にまとめた。分子内付加反応は、5員環から8員環の不飽和共役ラクタム類の合成法として有用であることを示した。一酸化炭素を用いる反応においては、当初、反応基質として、2-位にアシル基を有するアリルエーテルやアリルハライドのカルボニル化反応に取り組み、5員環ラクトン類の新規な合成反応を開発した。平成20年度末に、N-アリールアミドのカルボニル化を試み、二価の銅塩共存下で、芳香環上のC-H結合の切断を伴う環化カルボニル化反応が進行する新しい触媒系を見いだした。この反応は、1気圧の一酸化炭素かで効率よく進行し、ベンゾオキサジノン類が効率よく得られる。反応経路についても検討を加え、本反応がカルボニル酸素へのパラジウム金属の配位により近傍のAr-H結合の切断が起こり、一酸化炭素の挿入と続く還元脱離を経て生成物に至ると考えられる。また、種々の置換基を有する基質を用いて本反応の適用範囲を明らかにした。
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