2008 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族化合物の炭素-水素結合の活性化に基づく高度な増炭素反応
Project/Area Number |
17065016
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
垣内 史敏 Keio University, 理工学部, 教授 (70252591)
|
Keywords | ルテニウム錯体触媒 / 芳香族化合物 / 芳香族炭素-水素結合切断 / 炭素-炭素結合生成 / 酸クロライド類 / 不活性結合切断 / ヘテロ芳香族化合物 / 有機ホウ素化号物 |
Research Abstract |
炭素-炭素結合生成反応は有機合成化学において最も重要な反応の一つである。最近、炭素-炭素結合生成を直截的に達成する手法として、炭素-水素結合切断を利用する手法が注目されており、アルキル化、アルケニル化、アリール化、アシル化反応など多彩な型の反応が開発されている。本研究では、炭素一水素結合の炭素-炭素結合への変換反応として報告例が少ない極性官能基導入反応の開発に関する検討(課題1)、ならびに炭素一水素結合の直接アリール化反応を利用した多置換アントラセン類の迅速合成法の開発(課題2)について検討した。 課題1では、極性の炭素官能基であるアミド基ならびにエステル基の導入を、芳香族炭素-水素結合切断を利用して触媒的に達成できる新規反応の開発を目指し検討を行った。その結果、アリールピリジン類とN,N-二置換カルバモイルクロライドとの反応を、RuCl2(PPh3)3触媒を用いてトルエン中、加熱条件下で行ったところ、ピリジン窒素に対してオルト位でアミノカルボニル化が進行した生成物が高収率得られる新触媒反応の開発に成功した。カルバモイルクロライドの代わりに、クロロギ酸エステル類を用いてアリールピリジン類との反応を行った場合には、オルト位選択的にアルコキシカルボニル基が導入された生成物を与えることを見出した。 課題2では、芳香族ケトンのアリール化とそれらに関連するカップリング反応を利用して、多置換アントラセン類を迅速に合成できる手法の開発を目指して検討を行った。芳香族ケトンとしてアントラキノンを用い、芳香族ホウ素化合物とのカップリング反応を行うことにより、4箇所のオルト位炭素-水素結合ヘアリール基の導入を行った。その後、カルボニル基を還元またはアリール化することにより高度に置換したアントラセンを簡便に合成できることを見出した。本手法は、2-3工程で多様な多置換アントラセンを与える新方法論である。
|
Research Products
(16 results)