2006 Fiscal Year Annual Research Report
高度な立体制御を伴う官能基炭素分子の新規酸化還元反応系の開拓
Project/Area Number |
17065017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲永 純二 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50091244)
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Keywords | キラル多孔質固体触媒 / 回収再使用 / 還元的二量化 / ピナコールカップリング / 低原子価二核錯体 / 動的軸不斉 / 誘導適合 |
Research Abstract |
回収再使用可能な不斉酸化固体触媒の創製: これまで既に、触媒のパーツとなるランタンイオン、多方向伸展性スペーサー装着キラル有機配位子、および適切なアキラル配位子類を自己組織化させることにより、無機・有機ハイブリッド型キラル多孔質固体触媒の一段階合成に成功していたが、今回、スペーサー部位のさらなる検討により、不均一反応でありながら3回目の使用においても室温一時間の反応で99%収率、99%eeで生成物を与える優れた固体触媒の開発に成功した。また、そのSEM像から、この触媒が数十ナノメートルサイズの粒子で構成されていることを明らかにした。 一電子還元過程を経るエナンチオ選択的分子間ラジカルカップリング反応: (1)芳香族カルボニル化合物の高エナンチオ選択的ピナコールカップリング反応 前年度に引き続き、低原子価チタン-ビスビナフトール二核錯体によるアルデヒドの還元的カップリング反応を検討した結果、対応する1,2-ジオールが高収率、良好なジアステレオ選択性、優れたエナンチオ過剰率(最高99%ee)で得られた。対応するビナフトールやその3-ナフチル置換誘導体を配位子としたチタン反応剤を用いた場合には不斉がほとんど誘起されないことから、本二核錯体においては、その動的な軸不斉が、反応の進行の際に不斉をより誘起する方向に誘導的合型の正の協同作用を示したものと考えられる。 (2)イミノピナコールカップリング反応 フェロセンを含む新しい不斉配位子を用いてその低原子価チタン錯体を調製し、ベンズアルデヒドのイミン誘導体の還元的カップリング反応を検討した。その結果、フェロセン環を含む新錯体は良好なエナンチオ選択性(最高62%ee)を与えることを見出した。
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