2005 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素へのラジカル付加を活用する高度な炭素-炭素結合形成法の開拓
Project/Area Number |
17065018
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80210821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 浩 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教授 (20239073)
|
Keywords | トリフルオロメチルラジカル / ラジカルカルボニル化 / シクロヘキサン / アセチレンケトン / エノン / 一酸化炭素 / 三成分連結反応 / アシルシアニド |
Research Abstract |
炭素ラジカルによる不飽和結合への付加反応は、ラジカル反応による連続型炭素-炭素結合形成法の中心的な反応プロセスである。本研究では、炭素ラジカル種による一酸化炭素への付加反応を機軸とした高度な連続型炭素-炭素形成反応を開拓することを主目的としているが、初年度においては飽和炭化水素のケトンへの変換を中心に検討した。ペルフルオロメチルラジカルを活用しシクロヘキサンのカルボニル化を経る非対称ケトン合成をラジカル連鎖反応系で実現することを検討した。ステンレス製オートクレーブにシクロヘキサンを10mL、0.5mmolのフェニルアセチレントリフロンおよび開始剤として0.1mmolのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を仕込み、一酸化炭素を78atmに加圧し、バス温80℃で14時間反応させたところ、目的カルボニル化物であるシクロヘキシル(フェニルエチニル)ケトンが、収率55%で得られた。一酸化炭素が組み込まれていない生成物が17%の収率で副生した。一酸化炭素圧を110atmに加圧するとケトンの収率は64%まで向上した。一方ラジカルメディエーターとして、(2-エトキシカルボニル)アリルトリフロンを用い、シクロヘキサンと一酸化炭素との三成分連結反応を検討した。その結果、カルボニル化生成物としてβ,γ-不飽和ケトンとその異性体であるα,β-不飽和ケトンがそれぞれ20%および30%の収率で得られた。異性化には温度依存性が認められたことから、室温で光照射により、ラジカル開始剤の分解を行ったところ、異性化は抑制され、β,γ-不飽和ケトンのみが得られた。 一方、アシルシアニドは有用な合成中間体であるが、これを与えるラジカル的多成分連結反応は知られていない。ラジカルカルボニル化反応条件下でアシルラジカルのシアノ化反応を検討した。例えば、アルキルアリルスルホンと一酸化炭素とp-トリルスルホニルシアニドとの三成分連結反応を検討したところ、良好な収率で期待したアシルシアニドが生成することを見出した。本系は有機スズメディエーターを必要としないラジカル連鎖反応系である。
|
-
[Journal Article] Carbon Monoxide2006
Author(s)
Fukuyama, T., Ryu, I.
-
Journal Title
Electronic Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (Paquette, P.L., Fuchs, P., Crich, D., Molander, G. Eds.)(John Wiley & Sons, Ltd) (In press)
-
-
-
-