2006 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素へのラジカル付加を活用する高度な炭素-炭素結合形成法の開拓
Project/Area Number |
17065018
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80210821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 浩 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教授 (20239073)
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Keywords | ラジカル反応 / 一酸化炭素 / デュアル軌道相互作用 / オキサゾリン / ラクタム / 6-endo型環化 / アシルラジカル / ラジカル置換反応 |
Research Abstract |
炭素ラジカルによるオレフィンやアセチレンなどの不飽和結合への付加反応はラジカル反応による炭素-炭素結合形成法の中心的な反応プロセスとなってきた。本研究では、炭素ラジカル種による一酸化炭素への付加反応を機軸とし、既存のカルボニル化手法では困難とされてきた高度な連続型炭素-炭素形成反応を達成することを目指す。本年度における顕著な成果として一酸化炭素を各種ラクタム環のカルボニル基として取り込む新規ラジカル手法を複数達成した。 一酸化炭素加圧下、ラジカル開始剤とともに、6-アザ-1,5-エンインとトリブチルスズヒドリドとの反応を行ったところ、6-endo型環化生成物のみを良好な収率で得た。ついでオキサゾリン部位を持つアルキンを用いて反応を行ったところ、オキサゾリンの窒素上での、6-endo型環化が起こり、双環性ラクタムが良い収率で得られた。そこで本反応を(R)-(-)-ceniineの形式合成に応用した。一般にexo型のラジカル環化反応の例が数多く報告されているのに対して、endo型が選択的に進行するラジカル環化の報告例は稀である。本研究の反応例では、6-endo型環化の駆動力としてイミンやオキサゾリン窒素とのアシルラジカルの炭素との極性相互作用の関与が強く示唆された。そこで計算化学的検討を行ったところ、ラジカルのSOMOとイミン結合のπ^*軌道との相互作用に加えて窒素の孤立電子対とアシルラジカルのπ^*軌道との相互作用により環化の選択性が合理的に説明できた。この成果はラジカル反応でのデュアル軌道相互作用の概念提出に至っている。 次に一酸化炭素の捕捉と窒素上での置換反応を組み合わせたラクタム環構築反応を検討した。N-α-フェネチル-4-ペンチニルアミンを基質として用い、一酸化炭素加圧下、ラジカル条件で反応を行ったところ、良好な収率で無置換のラクタムを合成することができた。 アセチレン基を有するイミンおよびオキサゾリン結合に対する選択的ラジカル付加反応やアミン窒素上で置換型反応を見出したが、一酸化炭素の導入を伴うラクタム環構築の新手法である。
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