2007 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素へのラジカル付加を活用する高度な炭素-炭素結合形成法の開拓
Project/Area Number |
17065018
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
柳 日馨 Osaka Prefecture University, 理学研究科, 教授 (80210821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 浩 大阪府立大学, 理学糸研究科, 准教授 (20239073)
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Keywords | ラジカル反応 / 一酸化炭素 / カルボニル化 / ケトン合成 / 計算化学 / ヒドロキシメチル化 / テトラヒドロピラン |
Research Abstract |
炭素ラジカルによるオレフィンやアセチレンなどの不飽和結合への付加反応は分子内反応,分子間反応を問わず,ラジカル反応による連続型炭素一炭素結合形成法の中心的な反応プロセスとなっている。本研究では,これまでのCIラジカル化学における研究実績をもとに,炭素ラジカル種による一酸化炭素への付加反応を機軸とした高度な連続型炭素一炭素形成反応を開拓することを主目的としている。本年度は毒性が懸念される有機スズ試薬を排した環境調和型ラジカルカルボニル化反応の開発を行った。 13族ホウ素ヒドリド種を用い,ラジカル連鎖反応とヒドリド還元を組み合わせることで有機スズ試薬を用いないアルキルヨウ素化物と一酸化炭素とオレフィンとの三成分連結反応を開発した。本反応により一酸化炭素がケトンカルボニルとして取り込まれた各種の非対称ケトンが良好な収率で得られた。さらに,13族ヒドリド種を用い,アルキルヨウ素化物のヒドロキシメチル化反応を検討したところ,一酸化炭素の関与とともに反応は良好に進行し,対応する増炭型のアルコールが生成した。本反応ではヨウ素移動反応によるアシルヨージドの生成と続くヒドリド還元により進行したものと考えられる。ab-initioおよびDFT計算により,第三級アルキルヨージドからのアシルラジカルヘのヨウ素移動過程が速やかに進行することを計算化学的に明らかとした。 ラジカル反応では溶媒としてベンゼンを用いることが多いが,その毒性のためそれに代わる溶媒が求められている。毒性の低いエーテル系溶媒としてテトラヒドロピラン(THP)に着目し,種々のラジカル反応に試みたところ良好に機能した。またTHPはTHFに比べ自動酸化を受けにくいことを,実験的および計算化学的に明らかとした。以上の様に,本年度においては環境調和型のラジカルカルボニル化反応の構築に実績を築くことができた。
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