2005 Fiscal Year Annual Research Report
飽和炭素分子の炭素-水素結合の均一切断に基づく高度酸化手法の開発
Project/Area Number |
17065019
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
石井 康敬 関西大学, 工学部, 教授 (50067675)
|
Keywords | 飽和炭化水素 / 炭化ラジカル / 酸化反応 / 触媒 / 酸素 / N-ヒドロキシイミド / アルカン / 含酸素化合物 |
Research Abstract |
酸化反応は長期にわたり広く研究され膨大な知見の蓄積があるにもかかわらず、不活性炭素分子であるアルカンの酸化反応手法の開発はこの半世紀大きな方法論的進展が見られていない。本研究では、N-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)を分子触媒として利用する不活性炭素分子の酸素酸化反応による様々な有用含酸素化合物の新合成法の基礎原理を確立することを目的とした。特に、従来達成されていなかったアルキル置換ベンゼンおよびナフタレン誘導体の酸素酸化反応を行う。 アルキルナフタレンの側鎖の酸化により得られるナフタレンジカルボン酸およびジオール酸類は、高機能材料の原料として極めて有用であり、その合成法の開発は有機合成化学および有機工業化学において重要な課題である。NHPI/AIBN/酸素系を用い、2,6-ジイソプロピルナフタレンの酸化を行ったところ、選択的に対応するヒドロペルオキシドが得られ、続いて硫酸処理することで2,6-ナフタレンジオールが高収率で合成できることがわかった。また、NHPIを触媒に用いたヒドロ芳香族化合物の酸素酸化によるにヒドロペルオキシドの合成ついても検討した。たとえば、テトラリンをNHPI/AIBN/酸素系による酸化し、生成したヒドロペルオキシドを硫酸で処理することで、開環反応が生起し、3-(2-ヒドロキシフェニル)ブタナールが極めて効率よく生成することがわかった。一方、ヒドロペルオキシド体をトリフェニルホスフィンで処理することにより、α-テトラオールを合成することに成功した。
|