2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17066003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
民谷 栄一 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (60179893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神保 泰彦 東京大学, 大学院・彩領域創成科学研究科, 教授 (20372401)
本多 裕之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70209328)
小西 聡 立命館大学, 理工学部, 教授 (50288627)
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Keywords | 細胞チップ / シグナル応答 / 電極アレイ / バイオセンサー / バイオチップ |
Research Abstract |
本研究グループでは、バイオセンサー、チップ集積化技術、一細胞マニピュレーション技術などを駆使して、網羅的に且つ高感度に細胞シグナルなどを解析するバイオセンシングツールの開発を目指してきた。マイクロ流路中でピコリッターレベルのコンパートメントを多数形成させ、単一細胞を分離するフロー型一細胞アッセイチップを設計・作製した。容量70pLのコンパートメントを25個/秒で安定形成させ、また42%の確立で単一マウス脾臓由来B細胞の分離に成功した。このチップに刺激用試薬導入流路を増設し、コンパートメント中に単離したマウスB細胞に刺激用試薬導入流路からAnti-Mouse IgMによるマウスB細胞の刺激を行い、カルシウム応答による蛍光強度の増加の観測に成功した。これにより刺激前後の抗原特異的な単一B細胞のシグナル応答検出と評価に成功した。また、チップ上でPCRによる一細胞DNA増幅および検出が行えるマイクロチャンバーアレイチップの開発も行った。これには、母体末梢血液中にごくわずかに存在する胎児由来細胞を非侵襲的かつ選択的に回収し胎児DNA情報解析への応用を検討した。臍帯血より作製した母体血液細胞標本から、マイクロマニピュレーター制御の下、ピンセット型プローブを用いて1個体の胎児由来有核赤血球を回収し、マイクロチャンバー内に配置した。母子間の血液型不一致の判定に重要なRhD(Rhesus blood group, Dantigen)遺伝子に対するPCR増幅を検討した結果、46%のチャンバーにおいて目的のDNA増幅が観察され、また母体由来赤血球では増幅はみられなかった。これにより、オンチップ一細胞PCRによるDNA情報解析が可能であることが示された。さらに、マイクロ流路とチャンバーを組み合わせたiPS細胞チップを設計・作製した。マイクロフローを用いて液滴を形成し、iPS細胞の分化誘導に重要な細胞塊を効率的に形成させることに成功した。さらに、得られた細胞塊組織からの分化誘導にも成功した。その他、昨年度までに、40万個以上のチャンバーを有するマイクロアレイチップ上に、単一B細胞を80%以上の確立で導入することができ、各感作段階における抗原感作マウス脾B細胞に抗原刺激を行い、特異的な単一B細胞のシグナルを検出、解析できることも示してきた。以上、様々な機能を備えた各種一細胞情報解析チップの開発と応用に成果をあげた。
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