2006 Fiscal Year Annual Research Report
次世代共役ポリマーの超階層性らせん構造の制御と革新機能の創出
Project/Area Number |
17067003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤木 和夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (20150964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 博正 筑波大学, 数理物質科学研究科, 講師 (40292528)
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Keywords | 共役ポリマー / 階層制御 / 機能制御 / ヘリカルポリアセチレン / キラル液晶場 / らせん構造 / キラル発光 / キラルドーパント |
Research Abstract |
本研究は、キラル液晶を反応場とする不斉重合法を確立させ、ヘリカルポリアセチレンの合成展開のみならず、新たに、階層的らせん構造をもつ複素環および芳香環共役ポリマーを創成する。これにより、新規の電磁気的性質や円偏光発光性などの新しい光学的性質を発現させることを目的する。当該年度は、以下の課題を推進することで、次世代共役ポリマーの超階層性らせん構造の制御と革新機能の創出を試みた。 1.特異的な温度依存性を示す新規軸不斉キラル化合物を合成し、これをキラルドーパントしてネマチック液晶に添加して、誘起キラルネマチック液晶を調製した。これにより、わずか20度という狭い範囲の温度変化により、らせん構造のねじれの向きあるいはらせんの強さが可逆的に変わる、従来にない不斉液晶反応場を構築した。この不斉液晶反応場を用いたアセチレン重合において、重合温度を変えることで、ヘリカルポリアセチレンのらせんの強度を制御することを可能とした。次のステップとして、ヘリカルポリアセチレンのらせん方向を温度により自在制御することを目指す。 2.軸不斉キラル化合物の分子構造を新たに分子設計して、キラル化合物のねじれ強度を増大させ、さらにキラル化合物そのものに液晶性を発現させることで母液晶との相溶性を高めることで、これまでにない大きなねじれを有する誘起キラルネマチック液晶を構築した。これを不斉反応揚として合成したヘリカルポリアセチレンは、フィブリルの集合体であるバンドルを形成することなく、単一のフィブリルとして存在することを見いだした。これは、反応場の捻れを制御することで、らせん状ポリマーのモルホロジーの階層性を制御できることを示すのみならず、ナノサイズの単一フィブリルとしてその電気・磁気的性質を評価できる試料作りの手法を提示したものである。
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