2008 Fiscal Year Annual Research Report
次世代共役ポリマーの超階層性らせん構造の制御と革新機能の創出
Project/Area Number |
17067003
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤木 和夫 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20150964)
|
Keywords | 共役ポリマー / 階層制御 / 機能制御 / ヘリカルポリアセチレン / キラル液晶場 / らせん構造 / キラル発光 / キラルドーパント |
Research Abstract |
本研究は、キラル液晶を反応場とする不斉重合法を確立させ、ヘリカルポリアセチレンの合成展開のみならず、新たに、階層的らせん構造をもつ複素環および芳香環共役ポリマーを創成する。これにより、新規の電磁気的性質や円偏光発光性などの新しい光学的性質を発現させることを目的する。 1. 液晶が基板に対して垂直に配向することを促す垂直配向ドーパントを合成した。母液晶と同じメソゲンコアーを両末端にもつ棒状分子であり、これを液晶に添加することで垂直に配向した液晶反応場を構築した。まず、この反応場でアセチレンを重合し、フィブリルが垂直に配向したポリアセチレン(PA)を合成した。次に、この垂直配向液晶場に軸不斉キラル化合物をキラルドーパントして添加して、垂直配向キラルネマチック液晶を調製した。この反応場でアセチレンを重合することにより、フィブリルが一方向にねじれながら、かつ巨視的に垂直に配向した垂直配向ヘリカルポリアセチレン(HA)を合成した。また、これらのPAおよびH-PAをそれぞれ前駆体として、下記の形態保持炭素化法により、「垂直配向炭素化物」および「垂直配向ヘリカルグラファイト」を得た。 2. ヨウ素ドーピングを施したヘリカルポリアセチレン(H-PA)を前駆体として、これを800℃で加熱処理して炭素化すると、炭素化収率が80%以上と格段に向上するとともに、前駆体であるH-PAのスパイラル形態が完全に保持されることを見出した。さらに、同炭素化物をより高温の2600℃でグラファイト化しても、特徴的なスパイラル形態が保持されているのみならず、TEM観察によりねじれたリボン状のグラファイトが生成していることを確認した。本法(形態保持炭素化法)により調製したグラファイトは、100S/cm以上の導電性を示すため、そのスパイラル形態を活かすことで、熱的にも化学的にも安定なナノサイズの電磁石や、ねじれたグラフェン集積体として利用できるものと期待される。
|