2006 Fiscal Year Annual Research Report
階層制御されたDNA/共役ポリマー高次組織体の構築と光電機能
Project/Area Number |
17067004
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 範久 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (50195799)
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Keywords | ナノ材料 / 高分子構造・物性 / 共役ポリマー / ポリアニリン / DNA / 超階層構造 |
Research Abstract |
生体系は階層的に独立した分子や組織が協同的に作用し驚くべき機能を生み出している。本研究では独立した機能を有する分子材料を高次に組織化し階層性を制御して配列することで、革新的な機能を示す材料系の設計を目的としている。ここでは、単一鎖レベルで、(光吸収・電荷分離・電荷輸送)過程や(電荷輸送・電荷再結合・発光)過程などの高次機能を有するDNA/共役ポリマー高次組織体を合成し、その高次構造や成分間の階層性について、光吸収・発光特性、円偏光二色性等から定量的に評価した。また、DNA/共役ポリマー高次組織体薄膜の電流電圧特性を測定し、DNA鎖長の影響についても考察した。 前年度の検討からπ共役長の長いPAnを有するDNA/PAn組織体を調製するためには光重合よりむしろDNAとPAnの精密高分子反応を用いた方が有利である。そこで、高分子反応より調製したDNA/PAn組織体に温度や種々の刺激を与え、それらが構造に与える影響にっいて考察した。熱処理を加えたDNA/PAn組織体のPAnポ・ラロンバンドに基づく吸収は長波長シフトすると共に吸光度が減少し、熱処理によって構造が明らかに変化したことが示唆された。熱処理後の円偏光二色性スペクトルではPAnポ-ラロンバンドに基づく吸収帯において、熱処理前に比べ明確な正と負のCDシグナルが認められ(正のカイラリティー)、熱処理を行うことでより高い構造規則性を有するDNA/PAn組織体の調製が可能であることが明らかとなった。次に低分子量DNA、高分子量DNA、低分子量DNA/PAn複合体、高分子量DNA/PAn複合体の薄膜を作製し、それぞれの電流電圧特性を測定した。単位電圧における電流値の大きさは低分子量DNA、高分子量DNA、低分子量DNA/PAn複合体、高分子量DNA/PAn複合体の順に増加しており、分子量の高いDNAを用いた方が高い伝導度を示した。いずれの試料も基板上でネットワーク構造を形成することが確認されているが、その構造と電流電圧特性に強い相関があることが明らかとなった。
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