2005 Fiscal Year Annual Research Report
高秩序パイ共役ポリマーの合成と自己集積・配列によるキャリア移動制御
Project/Area Number |
17067006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 隆一 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (10016743)
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Keywords | パイ共役ポリマー / キャリア / 電子 / ホール / 配列 / 自己集積 / 電子機能 / 光機能 |
Research Abstract |
パイ共役ポリヤーは電子・光機能を有する新規材料として注目されている。そして、このパイ共役ポリマーの機能を十分に発現させるためには、パイ共役ポリマーの一次構造だけではなく、集合状態等の高次構造の制御が必要になると考えられている。 本研究では、主に有機金属の手法を用いて、一次構造の制御された高分子を合成して、そのキャリア種が電子であるかホールであるかを、ポリマーの構成要素の電子的特性に基づき解析した。さらに、得られたパイ共役ポリマーについて、その固体構造をX線回折法により解析した。固体構造の解析は、粉末サンプルについて行うと共に、基板上に形成したポリマーフィルムについても行い基板との界面における分子配列を解析した。さらに、得られたパイ共役ポリマーについて、紫外可視スペクトルの解析、蛍光スペクトルの解析、電気化学的ドーピングの解析を行った。このことにより、得られたパイ共役ポリマーの電子状態、エネルギー移動、非線形光学特性等の物性が明らかとなった。また、これらの物性が分子集合体形成によりどの様に変化するかを、明らかにした。 合成したパイ共役ポリマーの例を以下に示す。(1)側鎖にアルキニル基を有するポリチオフェ類、(2)1,3,4-チアジアゾールや1,2,4-トリアゾール等の電子受容性単位から成るパイ共役ポリマー、(3)側鎖にt-butoxycarbonyl基またはアルキニル基を有するポリピロール類、(4)ベンゾセレナジアゾール単位を構成単位として有するパイ共役ポリマー等がその例である。 これらのポリマーで、ベンゾセレナジアゾール単位は電子受容性の単位であり、ドーピングにより電子キャリアを与えやすい単位であり、チオフェン単位は電子供与性の単位でありドーピングによりホールキャリアを与えやすい単位であることが確認された。また、側鎖にアルキニル基を有するパイ共役ポリマーは特異的な自己集合状態を与えることが分かった。さらに、このアルキニル基を有するポリチオフェン系パイ共役ポリマーは白金板やガラス板等の基板上で、アルキニル基を界面方向に向けた配列を行うことが分かった。
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