2008 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバー通信波長帯量子ドットを用いた高次機能光子源の研究
Project/Area Number |
17068001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
末宗 幾夫 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (00112178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 修一郎 日本大学, 理工学部, 教授 (30307798)
植杉 克弘 室蘭工業大学, 工学部, 准教授 (70261352)
熊野 英和 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70292042)
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Keywords | 量子ドット / 単一光子源 / 単一光子検出器 / 量子状態変換 / 電子スピン / 円偏光 / 量子鍵配送 / 光ファイバー通信波長帯 |
Research Abstract |
当該研究の最終年度における取り纏めに際し、量子情報通信に欠かせない、単一光子の発生、光子状態から電子スピンなどの物質量子状態への変換、単一光子の検出といった観点から、総合的に研究を総括する用に検討を進めた。 これまでにInAlAs量子ドットでは単一光子の発生を光子相関測定で確認している。このような単一光子の発生をいわゆる「オンデマンド」の動作にするためのポイントは、光子を半導体外部に取り出す効率を上げることである。現在、金属共振器で検討を続けており、一桁以上の発光増強が観測されており、このような動作に近づける可能性を見いだしている。また量子ドット発光波長の長波長化についても、GaAsNひずみ補償層の導入により、1.55ミクロンの光ファイバー通信波長帯まで長波長化することが可能である。 量子情報通信では、量子情報を伝送する光子状態とこれを量子情報処理することが期待されている電子スピン状態の量子情報変換が重要である。これまでに励起子状態を準共鳴励起することにより、入射円偏光状態を92〜100%の量子効率で電子スピン状態に変換し、再度電子スピンから同じ円偏光状態に変換することを試みた。その結果、全体としての量子効率として92%という高い値を達成した。これは量子情報変換を実現する基礎となる。 光子の検出に関しては、InGaAs APDを正弦波変調することにより、アフターパルスなどの雑音発生を防ぎ、平成19年度に単一光子検出器の動作を800MHzまで高速化したが、最終年度にこの高速光子検出器を使ってNTTと共同で量子鍵配送実験を行った。これによって、15kmの通信距離では鍵生成率1.5Mビット/秒、ビットエラー率2.3%の高性能を実現した。
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Research Products
(4 results)