Research Abstract |
1. 1.55um帯高強度高機能超短パルスファイバレーザーの開発 まず初めに,波長1.55um帯で発振する,Er添加高出力超短パルスファイバレーザーを開発した.一般に,ファイバレーザーから高エネルギーの超短パルス光を発振させるのは容易ではない.今回開発したレーザーでは,共振器を分散値が正と負の二種のファイバで構成し,共振器内で超短パルスが圧縮・伸張を繰り返しながら伝搬する,ストレッチパルスモード同期の構成を用いた.この構成によって,共振器内で生じる非線形効果を抑え,高エネルギーの単一パルス発振を実現した.今回のレーザーでは,繰り返し周波数50MHz,平均強度100mWで,単一パルス発振を安定に得ることができた.ストレッチパルスファイバレーザーの出力は,ほぼ線形にチャープしている.そこで,今回は大口径フォトニック結晶ファイバを用いて非線形効果を抑えながら分散補償をし,102fsの超短パルス光を生成した.又,得られた超短パルス光を高非線形ファイバに入射し,ガウス型や,1オクターブ以上広がる,低雑音で高コヒーレンスなスーパーコンティニューム光を生成することに成功した. 2. 1〜2um帯波長可変超短パルス光源の開発 次に,Yb添加ファイバを用いて,波長1.06umにおける高出力超短パルスファイバレーザーの開発に取り組んだ.モード同期には非線形偏波回転を用いた.又,共振器の分散値を零に近づけるため,回折格子を用いて,異常分散を付加した.そして,ファイバレーザーの出力で,平均強度140mW,繰り返し周波数41.3MHz,パルス幅1psのほぼ線形にチャープした高出力超短パルス光を生成することに成功した.更に,コアが中空で非線形係数が極めて小さいフォトニックバンドギャップファイバを用いて,分散補償を行った.その結果,半値全幅で66fsの超短パルス光を生成することができた. 次に,生成した超短パルス光を異常分散特性を示すフォトニック結晶ファイバに入射し,波長可変超短パルス光の生成に取り組んだ.その結果,波長1.0〜1.7umにおける波長可変超短パルス光の生成に成功した.
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