2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高速全光スイッチの低エネルギー動作化と全光信号処理デバイスへの展開
Project/Area Number |
17068013
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 浩 独立行政法人産業技術総合研究所, 超高速光信号処理デバイス研究ラボ, 研究ラボ長 (50392585)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
物集 照夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 超高速光信号処理デバイス研究ラボ, 主任研究員 (20399497)
永瀬 成範 独立行政法人産業技術総合研究所, 超高速光信号処理デバイス研究ラボ, 研究員 (80399500)
|
Keywords | サブバンド間遷移 / 超高速全光スイッチ / 量子井戸 / 歪補償 / 位相緩和時間 / 均一広がり / 不均一広がり / ドーピング濃度 |
Research Abstract |
InGaAs/AlAs/AlAsSb結合量子井戸を用いたサブバンド間遷移の吸収飽和を利用した超高速全光スイッチについて、低エネルギー動作化に重要な量子井戸の歪補償技術、ならびに動作エネルギーに直接的に影響する電子の位相緩和時間の制御について研究を進めた。 この量子井戸では、井戸層であるInGaAs層とバリヤ層のAlAsSb層との間に数原子層のAlAs層を挟んで相互拡散を抑制してシャープな界面の量子井戸を実現している。しかし、AlAs層に起因する歪を補償するために井戸層のIn組成を大きくしており、これに起因する2光子吸収の増大が素子特性を劣化させていた。In組成を低減させ、同時に歪補償を行う構造として、AlAsSb層のSb組成をずらす新しい歪補償構造を検討した。その結果、多層の量子井戸構造で良好なX線回折パターンを得た。今後2光子吸収の評価と素子のスイッチングエネルギーの評価を進める。 素子のスイッチングエネルギーは電子の位相緩和時間の逆数に比例する。また、位相緩和時間は素子の帯域に密接に関係している。この位相緩和時間の制御の第一歩として、短パルス励起による非縮退4光波混合の手法を用いて、位相緩和時間の評価を行った。その結果180fsの緩和時間を得た。この評価では、フォトンエコーはみられず、吸収スペクトルに不均一広がりがあるものの、井戸内での電子の移動に起因すると思われる均一広がり的な振る舞いを示すことが判った。位相緩和時間から見積もられる帯域は14nmである。一方、これより大きな20nmの制御パルスと信号パルスの離調で短パルスでのスイッチング特性を評価し、応答が確認された。不均一広がりの影響でより広い帯域で応答が得られたものと考えられる。今後ドーピング濃度と位相緩和時間の関係を評価して、帯域と低エネルギー動作化を両立させる最適設計を目指す。
|