2008 Fiscal Year Annual Research Report
局所プローブによるナノリンク分子架橋系の分子物性の解明
Project/Area Number |
17069002
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米田 忠弘 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 教授 (30312234)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 毅 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (90261479)
道祖尾 恭之 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (10375165)
|
Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 金微粒子 / 自己組織化 / ナノ電極 / カーボンナノチューブ / プロッホ状態 / 干渉波 / 定在波 |
Research Abstract |
本年度においては、以下の研究を行い成果を収めた。 (1)前年に、金コロイド粒子の垂直乾燥で得られる自己組織化ストライプ構造をもちいて、その電気測定を低温から室温までの温度領域で計測するシステムを開発したが、本年度その結果をAPLに発表した。伝導特性は金粒子が単純に接触しているものではなく、その間に有機分子がはさまれた状態で存在することを示した。かつこれらの有機分子は溶液中でターゲットとなる分子と置き換えることが可能で、局所的にはナノ構造をもった電極構造が容易に作成できることを示した。本年度はこれを発展させ、極低温でのI-V測定を行い多数の粒子間をコヒーレントにトンネルしていく、co-tunnelingと呼ばれる新規な伝導過程を観察した。 (2)前年度までに極低温でのSTM実験においてきわめて高い分解能をもったIETSの測定に成功した。本年度は金表面に自己組織化的に形成されたアルカンチオール分子膜において得られたデータをPhys. Rev. Lett. に報告した。このスペクトルは現在までに報告されているSTM-IETSとしてはもっとも高分解能であり、かつ種々のモードを検知しているところが画期的である。本年度においては官能基の同位体置換により、振動モードのより詳細な同定を行うとともに、各振動モードのピーク強度を2次元的に可視化するマッピング測定に成功した。昨年の実験では各振動モードが分子のどの部位に由来するものかは直接的な情報を得られなかった。本年度の結果から、振動励起は電極に隣接する炭素-水素部位にとどまらず、鎖状分子に沿って平均的に励起されていることを実験的に示し、従来考えられている、電極金属の電子状態と混成した分子のHOMO, LUMOレベルが振動励起・スペクトルに支配的な役割を果たすというモデルでは説明できない、分子の伝導と密接に結びついた非弾性過程についての知見を得た。
|
Research Products
(22 results)