2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17069006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川合 眞紀 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70177640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 紀明 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (50252416)
金 有洙 東京大学, 理化学研究所・Kim表面界面科学研究室, 准主任研究員 (50373296)
白木 將 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (80342799)
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Keywords | 表面・界面 / プローブ顕微鏡 / 分子振動 / 化学反応 / 吸着 / コンタクト |
Research Abstract |
STM探針から注入した電子による吸着分子の振動励起とその緩和過程で起こる化学反応についてこれまで得られた成果を基に、解析方法を確立した。分子と電極との接点におけるコンタクトの電子状態と電気伝導との相関に注目して研究を行ってきた。チーオル系分子、安息香酸とその誘導体、3脚型チオール分子等の比較的小型の分子であったが、平成21年度は、炭素の巨大なネットワークである、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンと電極とのコンタクトに注目して研究を行った。銀電極にカーボンナノチューブを展開したとき、基板とチューブとの整合性に応じて、カーボンナノチューブのエネルギーギャップ内に多数の微細構造がSTSスペクトルで確認された。この微細構造は、基板とナノチューブの相互作用によって電子を閉じ込めるポテンシャルができ、ナノチューブ内に量子ドットの一次元アレイが形成されたとするモデルで説明することができる。波動関数の空間マッピングによってもこのモデルは確認された。電極とチューブのコンタクトによって電子状態が変調された非常に明瞭な例として考えることができる。プラチナ電極上で炭化水素を分解してナノグラフェンを作製し、その電子状態をSTSにより調べた。グラフェンのπおよびπ*バンドの電子がナノサイズ効果で量子化され連続準位から離散準位になったことがわかった。また、各準位の波動関数の形状を実空間で可視化した。C60や金属内包フラーレンと金および銅電極のコンタクトについてもSTSを使って調べた。フラーレン分子は、ステップ上端に優先的に吸着し、一次元構造をつくる。特に、金属内包フラーレンでは、複数の分子配向が見られ、配向に依存して電子状態も異なることがわかった。電極/分子コンタクトが電子状態を変調する例の一つである考えられる。
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