2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17069007
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 茂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50173745)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 優 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50302823)
|
Keywords | ナノコンタクト / 表面・界面 / 物性実験 / 電子分光 / 準安定原子ビーム |
Research Abstract |
平成17年度は研究計画の初年度であり,この間の研究実施概要と成果は以下の通りである. (1)備品として申請した半球型エネルギー分析器とHe循環型冷凍機を現有の超高真空装置に取り付けた.これらの備品の性能を評価し,現在,稼働状態にある. (2)本研究の主目的のひとつは,金属に接合した分子の電子状態を準安定原子電子分光(MAES)で明らかにすることである.MAESでは表面最外層の電子状態を選択的かつ高感度に捉えることができる.平成17年度では,予備的な実験として研究例が豊富な金属基板上のチオール分子を取り上げた.気体分子の測定は既に終了し,硫黄原子の非結合性電子の空間的な分布が他のσ電子に比べて著しく大きいことが認められた.現在,吸着系の電子分光実験の準備を進めている. (3)また次年度に備えて,準安定原子電子放射顕微鏡の整備をおこなった.これにより,0.3μm程度の空間分解能で表面反応や機能性の時間空間解析が可能となった. (4)さらに初速度の揃った高輝度準安定原子源の設計をおこなった.この原子源は顕微鏡の観測時間の短縮をもたらすばかりでなく,準安定原子のスピン状態を選別することによって表面最外層におけるスピン解析が可能となるため,分子-電極接合系におけるフェルミ準位近傍の電子空間分布のより詳細な情報が得られるものと期待される. (5)金属表面に結合した分子について,外部刺激(熱や光)に対する応答を調べた(次項参照).
|