2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17069007
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 茂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50173745)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 優 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (50302823)
|
Keywords | ナノコンタクト / 表面・界面 / 物性実験 / 電子分光 / 準安定原子ビーム |
Research Abstract |
本研究の目的は,金属に接合した分子の電子状態,特にフェルミ準位近傍に誘起される電子状態を準安定原子分光(MAES)などによって計測し,単分子電気伝導現象と関わりを明らかにすることである.典型的な有機-金属接合系を取り上げ,実験・理論(森川Gとの共同研究)両面を行った.その結果,有機-金属界面に形成される化学吸着誘起のギャップ準位は,2種類に大別されることが判った.ひとつは金属の波動関数が分子内部で急速に減衰するタイプであり,その典型としてPt(111)基板上のアルカンチオールを挙げることができる(20年度までの実績参照).平成21年度には,もうひとつのタイプ,すなわち金属の波動関数が分子内部を減衰することなく伝搬するタイプとして,Pt基板上のC_<60>がその好例であることを示した.また,これらの基板金属の波動関数の漸近特性が,ナノリンク系の電気伝導特性を支配していることを示した. BCPと呼ばれる有機分子と金属との界面に形成されるギャップ準位のキャラクタリゼーションを行った結果,BCP-金基板系では上述の化学吸着誘起準位が形成され,BCP-カリウム基板系では錯体生成に伴うギャップ準位が形成されることが判った.また,金属電極からのホール注入障壁の膜厚依存性を実験的に決定した. 世界最高輝度の準安定原子ビームを開発し(20年度までの実績参照),そのキャラクタリゼーションを行った.
|