2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子-電極ナノコンタクト系の軟X線発光と超高分解能光電子分光
Project/Area Number |
17069008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辛 埴 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (00162785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 恭孝 独立行政法人理化学研究所播磨研究所, 放射光科学総合研究所, 専任研究員 (90261122)
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Keywords | 軟X線発光 / 軟X線吸収 / 光電子分光 / シンクロトロン放射光 / 表面吸着 / 化学結合 / 電子状態 |
Research Abstract |
Spring8 BL17SUのSAS装置に設置されている軟X線発光分光器の分解能向上のため、新たな回折格子を導入し、調整を行い、E/△E〜2000という高いエネルギー分解能を実現した。具体的なナノリンク分子を用いた実験では、AO2班の川合グループとの共同研究で、m-アミノベンゾエイトがCu(110)に吸着した際の電状状態が、蒸着量に応じて変化していく様子を、内殻光電子分光を用いて詳細に調べた。また、同じく川合グループとの共同研究により、Cu(110)と酸素修飾したCu(110)(2x1)-0の2種類の表面に吸着させた鉄フタロシアンニンに、吸収分光・内殻光電子分光を適用し、清浄Cu(110)上では鉄がロースピン状態であるのに対し、Cu(110)(2x1)-0上ではハイスピン状態になっていることを明らかにした。さらに、分子吸着による基板の電子状態の変化を調べるために、角度分解光電子分光によるバンド分散の測定を行った。まず、典型例として、Cu(110)と酸素吸着したCu(110)(2x1)-0のバンド分散を測定し、酸素吸着による状態密度の変化を確認した。これを踏まえ、AO3班の谷ログループとの共同研究で、Au(111)表面上にベンゼンセレノールを吸着させた際のAu(111)のバンド分散を、角度分解光電子分光を用いて調べており、分子吸着由来の新たな電子状態を確認している。
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