2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子-電極ナノコンタクト系の軟X線発光と超高分解能光電子分光
Project/Area Number |
17069008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辛 埴 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (00162785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 恭孝 独立行政法人理化学研究所播磨研究所, 放射光科学総合研究センター, 専任研究員 (90261122)
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Keywords | 軟X線発光 / 軟X線吸収 / 光電子分光 / シンクロトロン放射光 / 表面吸着 / 化学結合 / 電子状態 |
Research Abstract |
Spring8 BLI7SUのSAS装置に設置されている軟X線発光分光器の改善、調整を行い、更にE/ΔE~3000という高いエネルギー分解能を実現した。具体的なナノリンク分子を用いた実験では、AO2班の川合グループとの共同研究で、川合グループとの共同研究により、Cu(110)と酸素修飾したCu(110)(2x1)-0の2種類の表面に吸着させた鉄フタロシアンニンに、吸収分光・内殻光電子分光を適用し、清浄Cu(110)上では鉄がロースピン状態であるのに対し、Cu(110)(2x1)-0上ではハイスピン状態になっていることを明らかにした。理論計算も行い、Phys.Rev.Lettに掲載された。さらに、AO3班の谷ログループとの共同研究で、Au(111)表面上にベンゼンセレノールを吸着させた際のAu(111)のバンド分散を、角度分解光電子分光を用いて調べ分子吸着由来の新たな電子状態が確認できた。一方、面心立方構造を持つ銅の基板上に鉄の結晶を成長させると、ある膜厚(原子5層~11層)で面心立方構造の鉄ナノ薄膜が得られ、スピンらせんを示すという報告に基づき、軟X線角度分解光電子分光を用いて、8層(膜厚1.6nm:1nmは10億分の1m)の鉄ナノ薄膜の電子状態を行った。その結果、スピンらせんの進行方向である薄膜の面直方向とそうではない面内方向では電子状態が異なること、特に、スピンらせんは、らせんの進行方向にだけ存在する「平らなフェルミ面」に起因していることを明らかにした。この結果はPhys.Rev.Lettに掲載された。
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Research Products
(11 results)