2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケールで制御された分子-基板接合系の構築と電子物性
Project/Area Number |
17069009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉信 淳 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (50202403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 良之 東京大学, 物質材料研究機構, 主任研究員 (00302638)
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Keywords | シリコン / 表面 / 吸着 / 電子エネルギー損失分光 / 走査型トンネル顕微鏡 / X線吸収分光 / X線発光分光 |
Research Abstract |
本年度は特定領域研究の2年度で,既設の実験装置を利用した研究と,新規実験装置の立ち上げを並行して行った. (1)低温のsi(100)c(4x2)表面の非対称ダイマーと非対称アルケン分子の環化付加反応を低温STMで研究し,原子サイト選択的に反応することを見いだした.この反応では広義のマルコフニコフ則が成り立っており,カルボカチオン的な中間体が関与していると考えられる.理論グループとの共同研究によりこの仮説が実証された. (2)Si(100)表面に基板温度を変化させ,1,4シクロヘキサジエンを吸着させたところ,3種類の吸着状態が観測された.80Kでは,ダイマー列の間にダブル・ドネーションの形式で弱く吸着する.100Kに加熱するとSiダイマー上に吸着した分子が観測された.一方,室温では,机型吸着状態をとると考えられる.机型の単一吸着分子に対してトンネル分光を行った.電流-電圧特性の中に,分子に由来する特徴あるピークが観測された. (3)酸窒化膜/Si(111)基板の界面の電子状態を,SPring8の軟X線吸収分光/軟X線発光分光を用いて調べた. (4)鉄ペンタカルボニルを低温のSi(100)表面に堆積させ,フォーカスした電子線を照射することにより電子誘起分解を生じさせ,その結果Si表面上に鉄を堆積させた.ポストアニーリングにより,鉄とシリコンが反応して鉄シリサイドが生成する.高温に加熱すると基板シリコン原子が表面を多い,鉄シリサイドは埋もれた構造をとることが分かった. (5)原子・分子のマニピュレーションと単一分子の振動スペクトル測定に適した極低温走査型トンネル顕微鏡(STM)を設置するための超高真空装置の立ち上げを行ない,性能の評価と最適化を行った.
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