2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケールで制御された分子-基板接合系の構築と電子物性
Project/Area Number |
17069009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉信 淳 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (50202403)
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Keywords | シリコン / 表面 / アルキル基 / 単層膜 / 電気伝導 / 走査トンネル顕微鏡 / STS / 光電子分光 |
Research Abstract |
本研究では,「ナノスケールで制御された分子-基板接合系の構築と電子物性」の研究を行っている.平成19年度は,具体的な系として以下の研究を行った. (1)Si(111)-Hと直鎖アルキル分子の液中での熱ラジカル反応でsi(111)基板上にアルキル基を共有結合させた.C12,C14,C16,C18の4種のアルキル基のCH伸縮振動が透過FTIRでS/N良く観測され,良質の単層膜が作製されたことがわかった.次に,水銀(Hg)-アルキル基-半導体基板を構築して電気伝導測定(I-V測定)を行った.水銀電極はソフトに最表面にタッチし接触面積も正確に見積ることができる.炭素鎖が長くなるに従い電気伝導度が下がることがわかった.さらに,サンプルに-2V以上バイアスを印可すると,単層膜の絶縁破壊が生じた.基板からアルキル基のLUMO準位に電子がトンネルして,一時的に負イオン状態が生じて解離するモデルを検討した. (2)Si(100)(2x1)表面に吸着した1,4-シクロヘキサジンの吸着状態を基板温度を制御してSTMで観察した.80KではSiダイマー列の間に位置した吸着状態,それをアニールするとSiダイマー上に吸着した状態に変化することがわかった.一方,室温で吸着させると,ダイマー列内の隣どうしのダイマー間に4本のSiCで結合するtetra-σ型が観測された.並行して,UPSでこれらの電子状態を観察した.80Kでは2っのπ結合が保存されていること,150Kではπ結合が1つになること,300Kにおける吸着ではπ結合が消失しtetra-σ型になることを支持する結果を得た.単一のtetra-σ型吸着種に対してSTS測定を行い,NDR的なIV関係を観測した. (3)Cu(100)表面に名古屋大学山ログループで合成されたDBP-S分子を吸着させ,吸着状態をHREELSとSPring8における内殻光電子分光(辛グループ)で研究した.室温以下ではDBP-S分子のS=P結合は保存されているが,室温以上になるとS=P結合が切断されていることを示唆する結果が得られた.
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Research Products
(5 results)