2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17069012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宗像 利明 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20150873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮久保 圭祐 大阪大学, 理学研究科, 助手 (70263340)
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Keywords | 光電子分光 / 顕微光電子分光 / 電子ダイナミクス / 有機薄膜 / 吸着 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
吸着分子と電極との間での電子・正孔の伝達機構を解明するために、フェルミ準位近傍に生成する吸着誘起の占有・非占有準位を測定した。測定には、フェムト秒レーザーを光源とした1光子および2光子光電子分光法を用いた。その結果、Cu(110)面上のベンゼン、Cu(111)上のナフタレンに対して、吸着結合によって新たに生成した占有準位と非占有準位とを捉えることができた。非占有準位のエネルギーや寿命と電子伝達機構との関連の検討を進めている。また、吸着分子の電子状態は、基板との相互作用や、分子間の相互作用の影響を強く受ける。電子・正孔の動的過程にもこれらの相互作用の影響が反映される。そこで、マイクロスポット光電子分光法を用いて、グラファイト(HOPG)上の銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン薄膜の表面微少域での電子状態を測定した。その結果、フタロシアニンの最高占有軌道(HOMO)由来のピークが、分子間相互作用や層間相互作用により分裂したり、シフトすることを捉えることができた。さらに、偏光依存性から分子配向の膜厚による変化を捉えた。薄膜の電子状態が空間的に不均一であることは予想されていることであるが、これを明確に実験的に捉えることができたことは、開発したマイクロスポット光電子分光法の有効性を示している。マイクロスポット光電子分光法よりも高空間分解能で電子ダイナミクスを解明するため、光電子放射顕微鏡(PEEM)の整備を進めた。50nm程度の空間分解能が得られ、振動対策などを進めることで、20nm以下の空間分解能を実現する準備を進めた。PEEMでは光電子のエネルギー分析ができないが、飛行時間法を導入することでエネルギー分析を行うことを検討した。市販品で十分な性能が得られる見込みは少なく、さらに検討を進めている。また、低温STMを導入した。まだ結果が出るには至っていないが、将来的にフェムト秒レーザーによる測定と組み合わせる方向で、装置の整備を進めている。
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Research Products
(3 results)