2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17069012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宗像 利明 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20150873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮久保 圭祐 大阪大学, 理学研究科, 助手 (70263340)
山田 剛志 大阪大学, 理学研究科, 助手 (90432468)
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Keywords | 光電子分光 / 顕微光電子分光 / 電子ダイナミクス / 有機薄膜 / 吸着 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
走査トンネル顕微鏡(STM)と光電子放射電子顕微鏡(PEEM)に試料準備室を整備した。試料準備室を整備したことにより、STMではCu(111)面での原子像の測定が可能になった。吸着分子のSTS測定に向けて測定系の整備を進行中である。PEEMでは有機薄膜の作成と飛行時間型光電子エネルギー分析が可能となった。蒸着時の凝集構造の生成とアニールによる均一化を2光子光電子、1光子光電子放出での画像として測定した。画像のコントラスト発生機構は、単純ではなく、薄膜の電子状態の情報を敏感に反映していることが波長を丁寧に変えた測定から明らかになってきた。マイクロスポット光電子分光での高エネルギー分解能光電子分光と併用して解析を勧めている。これまでのところ、吸着時の分子配向による電子状態の変化がPEEMでのコントラストを決めていることが明らかになった。また、グラファイト(HOPG)上のナフタレンでは、2層膜以上で分子にはない、連続状態様の準位ができることが光電子分光で観測された。準位の由来の検討を進めている。また、同じ系の2光子光電子分光からは、膜上の鏡像準位と非占有電子準位を捉えた。金属上の吸着膜の鏡像準位は、真空準位に対する束縛エネルギーが一定となることが多いが、ナフタレン/HOPGの鏡像準位はフェルミ準位にピン留めされていた。差異の原因を検討中であり、STMとの比較の準備を進めている。また、吸着誘起の非占有準位が複数個観測された。これは、金属上の吸着とは著しく異なっている。Cu(111)面上のナフタレンの2光子光電子分光の結果と比較することで、吸着にともなってフェルミ準位近傍に生成する占有・非占有準位の性質を明らかにする手がかりとなる。
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Research Products
(2 results)