2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17069012
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宗像 利明 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20150873)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮久保 圭祐 大阪大学, 理学研究科, 講師 (70263340)
山田 剛司 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90432468)
|
Keywords | 表面・界面物性 / 電子状態 / 光電子分光 / 分子性固体 / 超薄膜 / 有機導体 |
Research Abstract |
平成21年度の研究実施中に2光子光電子分光(2PPE)実験に使用する電子分光器の不具合(検出感度の低下)が見つかった。原因究明と返送修理に時間を要したため、当初の研究完了予定日(22年3月末)より8カ月間期間を延長して研究を行った。22年度は修理完了後の電子分光器の再調整と光学系の再整備を行い、不具合発見前と同様な状態に回復したことを確認した後、実験を再開した。21年度からの継続課題である鉛フタロシアニン(PbPc)薄膜については、サブμm領域での光電子角度分解測定から非占有準位の分散を測定した。清浄HOPG表面の非占有鏡像準位の分散は顕微なしで測定できるが、PbPc膜の鏡像準位の分散は再現性が不十分であった。光を微小スポットに集光し、角度分解型電子分光器を使用することで、均一性の高い領域での測定が可能となり、膜上の鏡像準位が有効質量2程度の自由電子的分散をすることが明らかとなった。これは、鏡像準位を分子由来非占有準位との相互作用を反映している。 また、STMによる分子配列の測定と2PPEの対応をつけるためにHOPG表面に吸着したナフタレン分子を対象に実験を行った。2PPEでは清浄表面、単層膜以下、多層膜吸着時に吸着分子誘起の非占有準位や鏡像準位が分離して観測された。STMでは単層膜、多層膜の吸着構造が異なることが判明している。STM像取得と同時に探針をプローブとして用いる局所分光(電圧-試料探針間距離計測)を行うと、2PPEで観測されたエネルギー位置をよく再現することがわかった。2PPEで観測された電子準位と、原子分子レベルで計測した結果を対応付けて議論することが可能となった。
|
Research Products
(21 results)