2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071004
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石本 英彦 東京大学, 物性研究所, 教授 (60044773)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 雄一 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50135670)
佐々木 豊 京都大学, 低温物質科学研究センター, 助教授 (60205870)
山口 明 東京大学, 物性研究所, 助手 (10302639)
|
Keywords | 量子固体 / 多体交換 / フラストレーション / 低次元 / スピン液体 / 超流動 / 結晶成長 / MRI |
Research Abstract |
物理吸着により実現される固体ヘリウム3は理想的2次元3角格子を形成し、特に反強磁性の密度領域では多体交換の競合とともに幾何学的な効果もありフラストレーションが増幅された量子スピン系である。この基底状態は、絶対零度でも長距離秩序のないスピン液体と見られているが、スピンギャップの有無については実験と理論的予想が一致していない。そこでDouble gradient field coilを用いたファラデ-セルを開発し、1層の固体^4He上の反強磁性4/7整合相の1mK以下における磁化曲線の測定を試みた。その結果、磁化曲線にはプラトーが存在し10Tのもとでも飽和磁化には到達していないことが判った。 3次元ULT-MRI法の開発に成功し、bcc固体ヘリウム3の低磁場秩序相(U2D2)の磁区構造を詳細に調べた。その結果、2次元MRI法での測定結果を確証することができた。磁壁の方位は磁壁をまたぐ多体交換相互作用のエネルギーロスが最少になる配置をとり、この系は多体交換モデルでよく記述されることが判った。一方2つの磁場中秩序相(U2D2,CNAF)について超音波の伝搬速度の磁場、温度依存性を精密測定し、多体交換相互作用に基づく異方的弾性定数を決定し、一般化されたグルナイゼン定数を求めた。その結果は多体交換モデルの定量性には疑問があることを示すものであった。 ヘリウム4の固液界面に超音波を入射すると、結晶成長や融解などが駆動できることが見出されたが、この手法によりファセットの高速成長に関して大きな進展が得られた。それは、量子極限におけるステップの不安定性であり、超流動の流れを組み込んだ新しい結晶成長のメカニズムの発見につながった。その結果は、J.Phys.Soc.Jpn.のLettersに掲載され、編集者によるインパクトのある論文に推薦され表彰された。
|
Research Products
(6 results)