2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 正仁 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (70271070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 琢也 学習院大学, 理学部, 教授 (00251330)
斎藤 弘樹 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (60334497)
東條 賢 学習院大学, 理学部, 助教 (30433709)
川口 由紀 東京工業大学, 大学院理学系研究科, 助教 (00456261)
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Keywords | 原子 / 低温物性 / 物性理論 / 物性実験 |
Research Abstract |
理論グループ(東京大学、電気通信大学、東京工業大学): 我々は,スピン1ポーラー相のBECを用いることで,ノットソリトンと呼ばれる結び目構造の生成・崩壊が観測可能であることを見出した.これまでにBECで研究されてきた,トポロジカル励起は巻き付き数で分類される点状の構造であるのに対し,ノットソリトンは絡み数で分類される点が新しい。場の理論でこのような励起が存在可能であることは以前から示唆されているが,その具体的な生成および観測方法は知られておらず、本研究により、初めてノットソリトンが観測される可能性が開けた。 スピノールBECがポーラー相から強磁性相へ相転移する過程において、キッブル・ズレック機構によってトポロジカルなスピン構造が自発的に形成されることを明らかにした。キッブル・ズレック機構に特有のスケーリング則が非常に良く成り立つことを数値的に確かめた。 スピノールBECにマイクロ波を照射して、原子の内部状態間でラビ振動させることによって、外部からの閉じ込めポテンシャルがなくてもBECが自らの相互作用で安定に形を保つことが可能であることを明らかにした。 実験グループ(学習院大学): 87Rb F=2スピノールBECの磁気基底状態を決定するために、スピン成分に依存する非弾性衝突の解明が必須であることを前年度に示した。今年度は、非弾性衝突レートを求めるためには各スピン状態の初期原子数の安定化が重要であるため、実験制御装置を刷新し繰返し安定に初期状態を準備できるよう改良した。2次ゼーマンエネルギーを無視できスピン交換衝突を生じない磁場(3G)で、光トラップ中の混合2成分BECの時間発展を5種のスピン成分条件で観測し、各非弾性衝突レートを見積った。その結果、理論による衝突レートと多少の差異はあるが定量的な一致を得た。
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