2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 正仁 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (70271070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 琢也 学習院大学, 理学部, 教授 (00251330)
斎藤 弘樹 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (60334497)
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Keywords | 原子 / 低温物性 / 物性理論 / 物性実験 |
Research Abstract |
理論グループ (東京大学)磁場中で双極子相互作用する強磁性BECにおける安定な磁化の構造を調べた。磁化が一様に偏極した系にBogoliubov理論を適用すると、波数空間で非等方な動的不安定性およびランダウ不安定性が存在し、非一様な構造が生じることが示唆される。Gross-Pitaevskii方程式を用いて数値シミュレーションにより安定な構造を探索したところ、双極子相互作用と2次ゼーマンエネルギーとの競合により、2次ゼーマンが強いときは横磁化のヘリックス、双極子相互作用が強いときは縦磁化のドメイン構造が生じる事がわかった。(電気通信大学)ダイポール相互作用は異方的で方向によっては引力として働くため、BECの異方的な崩壊を引き起こす。Stuttgar七の実験グループはクロム原子のBECを用いてこのような異方的崩壊を観測した。そこで電通大、東大の理論グループはダイポール相互作用を取り入れた平均場近似の方程式を用いて崩壊過程の数値シミュレーションを行い、Stuttgartの実験結果をフィッティングパラメータなしに定量的に説明することに成功した。この研究成果はStuttgartの研究グループとの共著論文として出版され、Physical Review Letters誌の表紙、Editor's suggestionおよびViewpointに採用された。 実験グループ (学習院大学)87RbのF=2スヒノールBECの非弾性衝突レートの測定を、様々な磁気副準位の組み合わせに対して行った。これら全ての実験結果は、量子化軸方向のスピン成分が0または1の2つの場合の実験結果から算出した、2つのパラメータ(全スピンが0または2の非弾性衝突レート)により、ほぼ定量的に説明可能であることが分かった。本研究で得られた非弾性衝突の物理についての統一的かつ定量的な知見は、F=2スピノールBECの振る舞いを理解するための基礎となるものである。実験ではさらに、マイクロ波を使った超微細準位間遷移の制御実験により、時計遷移で結ばれた2準位の相分離を観測したほか、1次元光格子の導入を行った。
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