2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071006
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和田 信雄 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (90142687)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平島 大 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20208820)
松下 琢 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (00283458)
檜枝 光憲 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30372527)
|
Keywords | 低温物性 / 物性実験 / ナノ材料 / ボース・アインシュタイン凝縮 / フェルミ縮退 / 超流動 |
Research Abstract |
直径がナノメートルサイズの細孔が規則的な構造でつながったナノ多孔体が創る新規ナノ極限環境において, 次元性や相関を制御した4Heおよび3Heの量子流体を実現する研究を行っている。このうち本研究では, 新たなパラダイムである1次元やゼロ次元のヘリウム量子流体の実現を目指してきた。細孔のつながりが1次元および3次元と異なる以外は孔径(約2.7nm)や基盤のポテンシャルがほぼ同じナノ多孔体で吸着4Heの比熱と捩れ振り子の超流動測定をおこない, 細孔のつながりの次元性を明瞭に反映する超流動転移(オンセット)を初めて観測した。3次元多孔体では, 吸着4He薄膜の3次元長距離秩序への超流動相転移を観測した。またこれは3次元原子ガスのボース・アインシュタイン凝縮のいくつかの特徴を示す。1次元多孔体では4He薄膜超流動オンセットを3次元で期待される温度よりはるかに低温で観測した。温度フォノン波長が孔径よりも長いので1次元的と考えられる場合に観測された超流動について, 平島らは1次元フォノンゆらぎにより観測される超流動成分が抑制されることを, モンテカルロ計算により指摘した。超流動オンセットの1次元細孔孔径依存や, ゼロ次元ヘリウムを目指して, Yゼオライトのナノケージにおける吸着ヘリウムの量子状態についても比熱などで詳細な研究を行っている。また, QCMによる高周波での4He超流動Kosterlitz-Thouless転移の周波数依存を, 金基盤において詳細に測定した。その結果2次元超流動渦パラメターを初めて精度良く見積もることに成功した。超流動渦の拡散係数は量子拡散極限値の可能性があり, 渦芯のサイズが温度ドブロイ波長に一致することなどを見出した。ナノ細孔の壁面を4Heで前もって覆ったあとに3Heを僅かに吸着することで, 1および3次元の3Heフェルミガス状態を実現できるようになった。これらのほかに, 更に小さな細孔での3Heガスやナノケージでのゼロ次元3He量子クラスターを実現する実験研究も行った。
|
Research Products
(6 results)