2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 悦輝 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (80181600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 和正 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90109265)
田仲 由喜夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40212039)
柏谷 聡 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, グループ長 (40356770)
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Keywords | 異方的超伝導 / ルテニウム酸化物 / スピン三重項超伝導 / スーパークリーン / トンネル効果 / 奇周波数ペアリング / 超伝導近接効果 |
Research Abstract |
スピン三重項超伝導に関する第一のアプローチ「超伝導秩序パラメターの制御による新量子現象の研究」に関して、Sr2RuO4純粋単体の転移温度が一軸性圧力下では、従来の1.5Kから3Kにまで上昇する実験的証拠を得た。また圧力下では金属化するモット絶縁体のCa2RuO4が、更なる高圧で超伝導を示すことを国際共同研究で発見し、論文発表した。さらにSr2RuO4のスピン三重項超伝導の秩序変数dベクトルは、酸素サイトでのクーロン斥力も重要となるRu酸化物特有の効果により、ab面内にあることを理論的に明らかにした。これにより、核四重極共鳴(NQR)の縦緩和率の異常な増大は、クーパー対のスピン軌道相互作用に起因する内部ジョゼフソン効果で理解できる。 第二のアプローチ「共晶接合系などでの新量子現象の研究」に関して、Sr2RuO4結晶を用いた微小接合での輸送特性の詳細測定から、従来の系にはないヒステリシスと、接合サイズに依存しない臨界電流という顕著な異常を観測した。これらは界面(エッジ)に高い臨界電流のチャンネルが存在するモデルで理解できる。また真空へき開面に直接金蒸着を行うことで良質のトンネル接合形成の技術を確立した。さらにSr2RuO4共晶と鉛での新しい構造の近接接合が、特異な臨界電流の温度依存性を示すことを明らかにし、Sr2RuO4の超伝導が奇パリティである証拠につながる成果を得た。超伝導不均一系に対する理論からは、奇周波数クーパー対が遍く存在することを解明した。特に、異方的超伝導体表面の零エネルギーアンドレーエフ束縛状態が、奇周波数クーパー対で表されることを示した。また、スピン三重項超伝導体の準粒子状態密度が零エネルギーピーク構造を持つ異常な近接効果が奇周波数クーパー対の視点で導けることを示すとともに、近接効果の統一理論を提案した。また本特定領域の他の研究グループとの連携を深めた。特にA03班「ボース超流体と量子渦」と当A04班「異方的超伝導・超流動」との小研究会、およびA04班内の当A04キ「異方的超伝導」とA04ク「超流動ヘリウム3」のグループでの小研究会を開催し、分野融合的視点での相乗的な成果を確認した。
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Research Products
(63 results)