2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071010
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70251486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20196869)
柴山 義行 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (20327688)
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Keywords | ヘリウム / 超流動 / 量子相転移 / ボース・アインシュタイン凝縮 / 量子液体 / 量子固体 / 超流動固体 / ナノ多孔体 |
Research Abstract |
本研究は、ナノ多孔体構造に閉じこめたヘリウムや水素が示す特異な量子多体現象を多様な実験により明らかにし、「スーパークリーン強相関ボース粒子系」の新しい物理を開拓・追求するものである。本年度は研究が大きく進展し、多くの重要な発見があった。 1)ナノ多孔質ガラス中^4Heの熱容量測定を行い、ねじれ振り子で決定した超流動転移温度よりも遙かに高温で、熱容量の極大を観測した。これをもって「局在ボース・アインシュタイン凝縮」の発現を最終的に確認し、本研究の目標の一つを達成した。 2)固体^4Heの「超流動」をねじれ振り子で研究し、追試に成功・さらに超流動性が固体試料の質に強く依存するという興味深い結果を得た。多孔体・平板試料を用いた測定を準備中である。 3)ナノ多孔質ガラス中^4He超流動特性をねじれ振り子(周波数2kHz)と超音波(周波数9MHz)で同時測定し、転移温度は10MHz以下では周波数に依存せず、むしろ多孔体の熱処理で生じた細孔のナノ構造の違いが、超流動性に重要であることがわかった。 4)ナノ多孔体にクリプトン原子を前吸着させ、「実効的細孔径」を小さくして^4Heの超流動特性を測定し、転移温度が低下することを見いだした。 5)ナノ多孔質ガラス中水素(H2)の量子液体状態の探索を定積圧力と熱伝導測定によって行い、多孔体中の水素の大部分は4K程度の過冷却の後固化してしまうが、少量ながら7K近くまで液体状態を保つ水素が存在することがわかった。この少量の過冷却水素に量子性が見られる可能性があり、現在均一な細孔を持つ多孔体での実験の準備を進めている。 6)周期的多孔構造を持つ結晶性ナノ多孔体中4He実験の準備が完了し、測定を開始した。 7)1次元ナノ細孔に閉じこめた^4Heにおいて、加圧による超流動の抑圧が極めて大きく、量子相転移が20気圧程度の圧力で起こることを発見した。
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Research Products
(10 results)