2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071010
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 Keio University, 理工学部, 教授 (70251486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20196869)
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Keywords | ヘリウム / 超流動 / 量子相転移 / ボース粒子 / 量子液体 / 量子固体 / 超流動固体 / ナノ多孔体 |
Research Abstract |
本研究は、ナノ多孔体構造に閉じこめたヘリウムや水素が示す特異な量子多体現象を多様な実験により明らかにし、「スーパークリーン強相関ボース粒子系」の新しい物理を開拓・追求するものである。20年度は以下の成果を挙げた。(1)ナノ多孔体HMM-3がつくる周期的ナノ構造中4Heについて超流動特性の圧力依存性を測定することに成功し、転移温度がランダム構造と1次元構造の中間にあることを発見した。これは周期構造または細孔に存在する隆路が超流動特性に影響することを初めて示した重要な成果である。(2)ナノ多孔質ガラス中4Heの超流動特性の周波数効果・試料依存性の測定を行い、超流動特性が試料の微細な構造の違いに敏感であることが明らかになった。(3)ナノ多孔質ガラスに閉じ込めた固体4Heが、バルク固体と全く同様の「超流動」的挙動を示すことを発見した。(4)1次元ナノ多孔体(FSM-16)中4Heにおいて高圧下での弾性が異常を示すことを発見し、超流動の抑圧との関連について議論した。また前年度までの成果である超流動の抑圧現象について、ナノスケールで発生する渦糸による位相スリップによる解釈を提案した。さらに熱容量測定に成功し、超流動転移温度よりも高温で熱容量がショルダー型の異常を示すことを発見した。(5)グラファイト表面に吸着した単原子層固体4Heのねじれ振り子実験を行い、振動速度に依存して変化する周波数シフトを観測した。2次元固体でもバルク4Heと同様の「超流動」的挙動が存在することを初めて示した極めて重要な成果である。(6)アルミニウム合金および銅銀合金を用いた超高感度ねじれ振り子を開発した。これを用いて、液体ヘリウムに浸されたグラファイトについて測定を行い、散逸が圧力によって準周期的に振動する現象を発見した。これは固体4Heがバルク固化圧力以下で層状成長することに伴うものと解釈される。
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Research Products
(25 results)