2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071011
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
桃井 勉 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 先任研究員 (80292499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 健 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30015862)
宮下 精二 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (10143372)
常次 宏一 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80197748)
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Keywords | 磁性 / フラストレーション / リング交換 / ネマティック状態 / 三角格子 / 量子スピン液体 / エキゾチックな秩序 / 動的性質 |
Research Abstract |
1.磁性体におけるリング交換相互作用および幾何学的フラストレーションが引き起こす新奇な磁気状態の探査および解明: (1)強磁性相互作用の支配的な正方格子スピン系において、リング交換等のフラストレーションにより強磁性相が壊された時に出現する量子スピン液体状態を調べ、スピン4重極の長距離秩序をもつスピンネマティック状態であることを提唱し、その発現機構を明らかにした(桃井)。(2)反強磁性相互作用の支配的な三角格子スピン系において、リング交換により120度ネール構造が不安定化し、新たに6副格子構造が出現することを見出し、また、磁場中の磁化プラトーを調べた(久保)。(3)スピン1の三角格子物質NiGa2S4を実験との協力により研究し、低温の磁気的および熱的性質が磁気長距離秩序のないスピン液体状態の実現を示唆することを指摘した。また、この相がスピンネマティック状態である可能性を理論的に予言し、磁気的物理量を計算した(常次)。(4)カゴメ格子系において磁場下の新奇なマグノン結晶相への転移の臨界現象を研究した(常次)。(5)分子磁性体の基底状態において各原子のスピン配位が遍歴的になる新奇な状態を見つけ、量子相転移機構やスピンクロスオーバーを研究した(宮下)。(6)動的な外場への応答を計算するため励起エネルギー構造を求める計算手法を開発し、ダイマー結合系の磁化過程や、横磁場イジング模型の動的性質を調べた(宮下)。 2.幾何学的フラストレーションを有する電子系における磁性の研究: 格子の幾何学的構造により平坦なエネルギーバンドを持つ相互作用する電子系における金属強磁性およびモット絶縁相における新奇な磁性状態の実現を調べた(久保)。また、スピン自由度と軌道自由度の複合自由度の示す多様な逐次相転移の性質(常次)および電荷移動の自由度を持つ系での相転移(宮下)について研究した。
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Research Products
(17 results)