2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071011
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
桃井 勉 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 先任研究員 (80292499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 健 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30015862)
宮下 精二 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (10143372)
常次 宏一 東京大学, 物性研究所, 教授 (80197748)
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Keywords | リング交換 / 三角格子 / 幾何学的フラストレーション / ネマティック状態 / スピン液体 / 磁化プラトー / 超固体 / 金属絶縁転移 |
Research Abstract |
固体^3He薄膜において発見された量子スピン液体的振る舞いを理論的に解明するために、リング交換模型(および多体スピン交換模型)における量子スピン液体相の出現可能性を研究した。その結果、スピン秩序のないスピン液体相が強磁性相に隣接し現れる事を見出した。正方格子上では、この状態は通常のスピン秩序は持たないが2スピン自由度からなる磁気秩序-4重極秩序-を持つネマティック状態である。一方、三角格子上では、隠れた8重極秩序を伴う量子スピン液体状態が現れることを明らかした。(桃井) また、三角格子上スピン1物質NiGa_2S_4で発見されたスピン液体的振舞いについて、スピン4重極の反強秩序の存在する可能性を理論的に研究した。この新しい量子相におけるボーズ型素励起を計算し、比熱や静的・動的スピン相関を求め、実験結果が半定量的に説明できることを示した。(常次) さらに、三角格子上多スピン交換模型において、6スピン交換の効果により1/6磁化プラトーが現われること、反強磁性領域で実現する120度スピン構造が磁場中で6副格子状態に相転移することを明らかにした。また、部分ライングラフ格子上における新奇な基底状態の出現可能性を研究した。(久保) 非対角秩序と対角秩序の出現条件の競合下で両者が共存する超固体状態について研究した。ハードコアモデルでは相互作用にフラストレーションがあることが重要な条件であるのに対し、ソフトコアモデルではフラストレーション無しでも超固体が実現でき、そこでは超流動成分の周期性に興味深い相互作用依存性が現れることを発見した。(宮下) さらにフラストレート電子系における金属絶縁体転移と磁性を理解するために、カゴメ格子遍歴電子系を拡張された動的平均場近似法を用い研究した。その結果、この系において金属絶縁体転移の存在を初めて示すと共に、転移点近傍で新奇な1次元的準長距離スピン相関が発達することを発見した。(常次)
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Research Products
(16 results)