2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17073002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西川 恵子 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (60080470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城田 秀明 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (00292780)
鮎澤 亜沙子 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 助教 (40431754)
東崎 健一 千葉大学, 教育学部, 教授 (30102031)
森田 剛 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (80332633)
若狭 雅信 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40202410)
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Keywords | イオン液体 / ドメイン構造 / premelting / 回転異性体 / 凝固・融解 / 熱物性 / 振動的相転移 |
Research Abstract |
いくつかの研究成果を得たが,ホットな話題あるいは顕著な成果である以下の2つを報告する。 ◇メゾスケール構造研究: イオン液体には、ドメイン構造が存在すると言われ、イオン液体の構造研究において重要なテーマである。筆者も、いくつかの手法でドメイン構造の存在を裏付けるようなデータを得ている。しかし、小角X線散乱で検知できるような構造は存在しない。すなわち、1-100nmの大きさで、分子またはイオン集合体による電子密度の疎密ができるようなドメイン構造は存在しないと結論される。 ◇凝固・融解過程の解明: 熱流速としてnWの感度と安定性(市販の装置より2〜3桁、高感度)を有し、かつ準静的と近似できる熱変化を可能にした手作りの示差熱分析(DSC)装置を用いて、イミダゾリウム塩(Rmim:alkyl-methylimidazolium)について結晶⇔液体の相転移における詳細な熱物性の実験を行った。試料すべてで、10K以上にわたるpremelting現象が存在することを見出した。このpremeltingはalkyl基の回転異性体間の構造変化を伴い、しかも、多くのカチオンが協同的に構造変化をしているため相転移はミリ秒〜秒オーダーのslow dynamicsで支配されていることを明らかにした。イオン液体の凝固・融解過程は、協同的な内部構造の変化を伴っており、これがイオン液体を凝固しにくくしている一因であると結論した。 [C_4mim]Brにおいて、準静的と言えるほどの非常に遅い昇温速度(0.02mK/s)で、premelting領域の詳細なDSC実験を行ったところ、凝固・融解が行きつ戻りつするリズム的な相変化を、世界に先駆けて観測することに成功した。リズム的な凝固・融解に関わるドメインの大きさは、10^<12>-10^<13>程度の[C_4mim】Br unitsが関わっていることが明らかにされた。
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